浜岡賢次『毎度!浦安鉄筋家族』


●高級バナナの入った箱を開封するシーン。
●前ページからの続きで、右ページ上段のコマ。つまり、ページめくるとまず目に入る大ゴマ。
●箱を開封する擬音(オノマトペ)「パカ」がまず読者の目に入り、読まれる。そこから左に流れる視線上に、コマの中心に縦に鎮座するバナナ本体。その左に、包装紙をめくるオノマトペ「ぺら」がある。
「パカ」はカタカナ横書き、かつ音を立てる行為を示すべく箱に重ねて描かれる。「ぺら」はひらがな縦書き、同様に音を出す紙に重ねて描かれる。
「パカ」がゴシック体、「ぺら」がやや崩し字というのも、異なる音質の表現といえよう。
●このコマ内にある語り、音声としての文字は、この二種の白抜きオノマトペのみ。(バナナ上のはあくまで絵としての文字。)コマ全体に占める割合としてはかなり小さめで、かつ形状は無機質である。お目見えする際の静寂、としてのコマ。
●上手い。以上。