越智善彦の描く頬の斜線

今さら小池一夫氏の「マンガの顔における頬の斜線」に関するツイートを知ったので、手元の越智善彦のカットをば。




  • 『ドロイどん』セブンネット通販特典ペーパーより。


右側のニッ!といった感の顔では規則的に縦線が並べて描かれる一方、左側のわーい!という感の顔ではギザギザ線まで入り交じって描かれ、破調しています。これは質感や色調の表現というよりは、キャラの感情にリンクした漫符に近い表現であろうと。
くわえて私が連想したのは、BSマンガ夜話『無用ノ介』回で夏目房之介が実演して描いた、それこそ小池一夫ストーリーテリングとリンクする形で“リアル”へと向かう以前の劇画に見られたという、ズボンをマジックでギザギザ線描いて塗りつぶす描法です。現実的ではない、しかし創作としての表現。
越智善彦の描く頬の斜線には入りと抜きがある、タッチが見られますもの、それは味ですよ。(※ファン補正)





漫棚通信氏もこれに言及するツイートをされてまして、「漫棚通信ブログ版」での9年半ほど前に言及された記事では、みなもと太郎氏が描き手側の視点からコメントを残されています。「擬似手描きふう」の効果、とひとことで言い表されたらひれ伏すしかありませんな、へへー。





まああれだ、顔の斜線ふくめ、越智善彦『ドロイどん』の手描きタッチをみんなで読み味わおう!(※ファン暴論)

ドロイどん (電撃コミックスEX)