アニメ「ハピネスチャージプリキュア!」21話、他

●脚本担当がシリーズ構成の成田良美、絵コンテ担当がシリーズディレクターの長峯達也。第21話です。
●冒頭からひめのデフォルメつぶれ泣き顔、かわいい。あまりかわいくない顔の、ニワトリとクマのでかいぬいぐるみにはさまれてるのもかわいい。
●ドアを叩くリボン。ハチミツとリンゴとオレンジのアメで誘い出そうと呼びかけるゆうこ。ひめは部屋にとじこもっている模様。
●「めぐみは?めぐみはいないの?」とひめ。仲間になってもらうため氷川さんの家に行った、とゆうこに聞かされ「やっぱりめぐみは私よりキュアフォーチュンの方がいいんだー!」と泣き叫ぶ。この反応は、ひめにとって最初の友達であるめぐみがいかに大切か、の表現だし、また同時に、プリキュアとして仲間であること以上に友達であることが重要、という表現ともとれる。めぐみやゆうこの「氷川さん」呼びを用いず、ひめだけが「キュアフォーチュン」と対立項を呼称しているわけだ。前回感想でも触れたが、その点は戦力としてチームを組みたがっているいおなとは正反対なわけである。
●ひめはそもそも最初からそうなんですよね。第1話でブルーが、仲間のプリキュアを探してごらん、と愛のかけらを差し出しても拒否するけど、友達が見つかるよ、と言い方変えるとウキウキして受け取り、めぐみと出会う。友達であることとプリキュアとして仲間であることはイコールだった、でもそれだけじゃない、という構造がハチャプリという作品の肝になるのではないかなあ、と。
●あと、このドアはさんだ会話のカット切り替えは上手いですよね。絵柄についても、ギャグ調の泣き顔だったひめが叫ぶ時はシリアスな表情になり、だけど例の口の中にまた顔がある表現が待ってるという。あ、これも1話オープニングアバンと同じだな。
シャイニールミナス。引いていくキャラによる画面切り替えって演出はよいな。今の所キュアブラックに続いて二人目?
●サブタイトルが「ひめの過去の過ち!怒りのキュアフォーチュン!」。前述と同じく「ひめ」呼びと「キュアフォーチュン」呼びの対比が気になる所。次回もサブタイトルに「キュアフォーチュン」入ってる(三話連続)んですが、これがいつか「いおな」になる、というカタルシスあるんじゃないかな。初代プリキュアも、名前呼びしあうようになるまで時間かかったそうじゃないですか。(※未見です)
●「たのもー!!」と氷川流空手道場に突撃するめぐみ。いおなの手を取り「ぐいぐいせま」るめぐみ。強いな。
キュアプリンセスがいるなら一緒に闘えない、と断るいおな。この意固地さは子供っぽさともとれるよう、描写されてますね。あの子をプリキュアとは認めない、という発言に対しめぐみから「どうしたら認めてくれるの?」と問われると、にらんで「私と組む気がないなら帰って!」と立ち去るしかできない。ぐらさんも「このくらいで勘弁してやってくれ」としか言えない。
●ここでいおなの背中に「また来るね!」「時間とらせて悪かったな!」と笑顔で告げられるめぐみ&誠司、まぶし過ぎるよ…。
●空手の型に励むいおな。諭すぐらさんに「愛乃さんはあの子と離れる気はない」「私は一人で戦うわ!」とキツい目つきで宣言。誠司と二人で鍛えた時は笑えてたのに。いおなもまた、ひめを名前ではなく「あの子」としか呼びません。「フォーチュン」としか呼ばないひめ同様。
●リボンとブルーの会話。ブルーいわく「神でも人の気持ちは変えられない。でも心は鏡のように、わずかに光が当たるだけで変化するもの。」「愛があれば…イノセントな愛が集まれば、世界は生まれ変わることができるよ」。このセリフを、プリキュアに恋愛を禁じているブルーが、アクシアに手を添えながら言うんですよね。クイーン・ミラージュがアクシアに閉じ込められたのは“間違った”愛のせいってことなのかねぇ。
●「おいしいご飯最強作戦」始動。シチューのにおいにつられ部屋から出てきたひめだが、忍者になって煙幕をはり逃亡。「また逃げた!でも私も慣れたよ!」犬になって、においを追うめぐみ。(犬耳はつかないんだな…。)さらにそれを、ひよこになって追うゆうこ。いや、それはわからん。最初に見た人を追うとか?でも児童作品らしいドタバタ感で好き。
●ひめを追っていためぐみですが、ひめから「どうせフォーチュンの方が好きなんでしょ〜!」と言われ、「そんなこと…思ってないよ〜!」と立ち止まり、泣き出します。これにはびっくりした。そういうキャラだと思ってなかったけど、友達に嫌われたかと思うと悲しくて泣くんですね、めぐみもひめも。「ひめは私の友達だもん。私の大事な友達だもん」「私もだよ〜」と泣きながら抱き合うめぐみとひめ。「あらあら」とやって来るゆうこ。
●ここの場面切り替えで、犬しっぽとひよこしっぽが一瞬ずつ映るのがかわいい。
アクシアを開けたことを苦悩するひめの絵が、落涙時はシリアス風で泣くときはギャグ調。いいな。「開けちゃったものは仕方ないよ!」「ドンマイドンマイ」。いいなあ。悪いのは幻影帝国、というのは確かに。キュアフォーチュンを怖がるひめに、最初は学校も友達も怖がってたけど今は大丈夫じゃないか、と諭すめぐみ。いいなあ、うまい構成だよ。よし、氷川さんに気持ちを伝えに行こう、となった所で。
●ファントム登場。ハピネスチャージプリキュアのおかげでぴかりが丘は愛に満ちているらしいが、「愛が大きくなるほど失った時の絶望は大きくなる…頃合いだ」とつぶやく。これ、ブルーがプリキュア恋愛禁止を告げた時に言ったのと同じ理屈ですね。因縁もあることだし、おそらく何らかの共通体験による思考なのでしょうけれども。
●「鏡に映る未来を、最悪で満たせ!」大量のファントムサイアーク登場。ひめの回想で、ブルースカイ王国の一瞬での変貌が映されますが、これは怖いな。立ちすくむしかない、という光景。
●殴り飛ばされるめぐみ、ハチャプリには珍しく。座り込んだめぐみに、さらなる攻撃を加えようとするサイアーク。と、その前に立ちはだかるひめ。「私の友達に何するのよ!プリンセスゲンコツツインマグナム!」ぶっ飛ぶサイアーク。熱い!一瞬映る後ろのめぐみが、ちゃんと笑顔なのがいいですね。
●めぐみのひめへの好き宣言。めぐみの「いつも助けてもらってる」発言に、ひめの不安げな「そんなこと…ないよ」、それに対するめぐみの満面の笑顔での「そんなこと、あるよ!」。このやりとりは見事。ファッションセンス、才能の部分をほめられて「そんなこと…あるけど!」と言ってきたひめが、性格を、やさしさをほめられるわけです。当人は戸惑うけど、断言され肯定され好きだって言われるわけです。
●で、めぐみとひめは手をつないで「困ったことがあったら相談してね」「私はめぐみがいたから頑張ってこられたんだ」て、これもう単に友達としてのやりとりなわけですよ。でもそれがプリキュアとしての力になる、というのが前回のめぐみで、今回もまた大量のサイアークを前に二人で手つないで笑顔で立つわけです、この心情を胸に。その様が頼もしいんだ、すごく。「いこうプリンセス!」「うん!」「「ハァーーッ!!」」
●「ハニースーパーソニックスパーク!」
●サイアークと戦いながら、ひめが叫ぶ。「私には大好きな友達がいるから!もう何があっても!最悪だなんて思わないわ!」友達の存在が幸福であり強さなんだ、と前回のひめと通じるさとりです。
●「ハニースタンプ!」
●リボンいわく「みんなの力がいつもより強くなっていますわ!」ブルーいわく「プリキュアの力の源は愛。互いを信じあい支え合うのもまた愛だ」。つまり力を内部循環させるべく外部に向ける恋愛は禁止だと、いやいや。
●一方その頃、一人で戦っているキュアフォーチュン。サイアーク一体にとどめを指しふらつく、そこへ現れるファントム。
●フォーチュンの場面の雰囲気から一転、明るい曲調の中「一気にいきますよ〜」とゆうこ。例の宇宙からの巨大四葉プリキュアスパークリングバトンアタックで大量に消滅するサイアーク、てエフェクトでなく実際にデカかったのかよ!すげえなおい。
●「ラブリー、ハニー、あらためて言います。私、二人と友達になれてよかった!」「私も!」「私もだよ!」うん、うん(笑顔)。
●おいしそうなハンバーガーのパワー。え、ハンバーガーコスプレ?ハンバーガーキッド?と思ったらカードには「アメカジ」表記。
●リボンにも、いつも心配してくれてありがとう、とお礼を言うひめ。これに対する「リボンはプリンセスが幸せいっぱいなら幸せなのですわ」という返しもよいですね。リボンはひめにとっては友達というより、親のような関係だもんな。
●さあ、残りのサイアークも倒そう!とかけ出す一同。そこでひめは「あっ…」と止まります。「一人で戦っているフォーチュンは、怖くないのかな?」と“気づき”ます。友人が、仲間ができた時に、そうなれてない人のことを思い出す。それは過去の自分自身の姿でもある。この時初めてひめは、フォーチュンの内心にまで思いが至ったのでしょう。心を持つ生身の人間として見れたのでしょう。
●フォーチュン対ファントム@おおもりご飯前。背景見返したら、三人が戦ってるのは河原だし、フォーチュンがこの前に戦ってたのは空手道場前、とおなじみの場所なのね。そこが変わり果てようとしている光景、危機。
●ファントムに別空間に誘い込まれるいおな。プリキュア封じた鏡がたくさん、怖えよ。「いわばプリキュアの墓場」。そして次回へ。
●予告はいおなさん大ピンチシリアス。ゆうこいわく「戦った後においしくご飯を食べるまでがプリキュアなの!」わかるよ、彼女の精一杯の真摯な励ましだってのは、だがしかし、まあ明るさは必要だしな。



あと、
●「リバースエッジ 大川端探偵社」は、浪花節エピソード「もらい乳」から屈指の派手馬鹿話「決闘代打ち」への流れがすごくよかった。母性と絆から鎖鎌VSバズーカ!この作品の魅力たる異形さですな。
メ〜テレでは都心より一月遅れで放送される「タモリ倶楽部」。プレミア切手を“作る”会社の話にうなりました。偶然ではなく意図的に製品にできて、しかしそこには土着的ともいえるセンスと労力が必要である。大変おもしろかった。
などと思いました。