越智善彦『ドロイどん』66〜70

(『ドロイどん』66話より)
雪景色の中、木にまかれたワラに興味を持ったひなたちゃんです。
「カサ…」とめくると「もぞもぞもぞ‥」となってて引くわけです。目は点から白丸から黒丸。背景は白から黒からカケアミ。見る対象の影や描き文字・オノマトペふくめて、この3コマでの絵の変化がいいですね。この木目とか好きです、私。



(『ドロイどん』67話より)
「ガチャ‥」「ガラガラ」「ばっ」。戸を開き、台車を押し、布をめくる。このテンポが好き。



(『ドロイどん』68話より)
1ページ四段構成の三段目、右端から3コマ。
上段左端から折り返してきた視線は、上から入ります。で、コマの中の人物も上から下に向かい「バタバタバタ」と走っている。読者の視線の流れにそっています、俯瞰で。コマ下側のこの絵、煙とドロイドの手飛んでますけど、これに向かってるわけです。で、次のコマがある左側から出てるんですね、この煙が。
次のコマは、走ってきたメガネさんとお嬢ちゃんの驚く様を正面から仰角で。その次のコマは、前のコマで二人が驚いた対象を、右からくる読者の視線に向かい合わせる角度で立たせてます。この煙とか好きですね。



(『ドロイどん』69話より)
桜の花びらで遊ぶ、ひなたちゃんとドロイどんがかわいい。好きです。
状況と行動と結果見せるのに、俯瞰から二段階アップに寄せて、アングルをこう切り替えて、描写してくるわけです。うまいです。好きです。



(『ドロイどん』70話より)
この場面はぜひ単行本で、前後の流れふくめてご確認いただきたいんですけれども。
ひなたちゃんがフォークから「ポテ…」と落としたタコさんウィンナーが、次のコマで黒ドロイドから「プチ‥」と踏まれる悲劇のワンシーンです。絵の全体像と、対象に付随するオノマトペ「…」の落差が、そのまま異なる時間の流れの表現になってます。一つのコマの中で、オノマトペの発信源に視線がフォーカスされる。おもしろい表現です。
また、この二つのコマで地面が同じ方向に傾いてますね。しかし、ここで描かれるキャラクター達は互いに向き合っているんです。つまりこの二つのコマではアングルが180度異なる。しかしそれを映像、カメラのパンでつなげると、地面の傾きの方向まで逆になるわけですよ。このコマ間の流れをすんなり読めるのは、マンガ表現ならでは、なんです。そういった表現が出てくる、使いこなされている点が好きです。



越智善彦『ドロイどん』、来週27日単行本発売!
書影キター!あと、とらのあなゲーマーズとセブンネットでは特典ペーパー付くそうですよ。