『ケルベロス』壱、『花花』8

  • 龍盤七朝 ケルベロス 壱 (メディアワークス文庫 ふ 1-1)

ああ、早く続きが読みたい。長々と積んどいて言うことじゃないけど。(すいません)



てか、今「ケルベロス」つったら巷ではチャンピオンでやってる方になるんかな。どこの巷だそれは、という声もあろうが、つい先日2巻も出たことだし。チャンピオン連載で単行本が、2巻目が出ることの意味!その価値!そりゃ私だって、幼なじみでのっぽでキュートでおっぱいなヒロインの方が、文中で「餓鬼」だの「野獣(けだもの)」だの「小鬼」だの「小便たれ」だの称されるヒロインよりまんざらでもないと認めるにやぶさかでないよ!
が、何はどうあれ書いたの古橋秀之ですから、『龍盤王朝 ケルベロス』。彼が描くからこそ輝く、「亡国の皇姫を自称する小便餓鬼」であり、中華ファンタジーバトルアクション、なのです。
彼の描く世界は常に、それが重黒サイバーパンクであろうが、ラノベ的ボーイミーツガールであろうが、スペースオペラ風味ホームコメディだろうが、パロディギャグ&熱血バトルな妹モノだろうが、格ゲーオタク青春譚だろうが、こちらが取っ掛かり掴むと即首根っこ掴んでその空気と熱に没入させてしまうだけの力を持っています。作品によって、肉だったり血だったり骨だったりする古橋秀之のSF魂、その技術と才能による重力と匂いは、一度魅せられたら病みつきになることうけ合いです。ただし、氏は寡作であり、未完作品も多いのです。(泣)
まあそんなわけで、案の定『ケルベロス』にも魅せられ、燃え、最後のページで深く唸った私。しびれた、たぎった、そういうことかぁ!ハァ、これがオープニングだよ。(訳:頼むから続いてください。)イカすね渋いね、待ち遠しいねぇ。
本作品が、古橋作品の中では世界観の近い*1、途絶した金庸風アクション『Ⅸ ノウェム』のリベンジとなることを願ってやみません。(そういや『Ⅸ』については、北上次郎が褒めつつも、「続きが出ないなら、俺はB評価にしちゃうよ」て言ってたっけなぁ…。)



さて、そんな私が現在発売を楽しみにしておる小説といえば、遠未来SFファンタジー寓話『R.U.R.U.R』一発で我が心をブチ抜いたエロゲーシナリオライター伊藤ヒロライトノベルアンチ・マジカル』です。「魔法少女禁止法」の制定された世界で非合法の活動をする女装魔法少女の物語、だって。出版元である一迅社文庫編集部のブログみたら「本当に酷い」、だって。でも売れたら、伊藤氏がブログで書いてた企画『もし『マネジメント』のドラッカー高校野球部の女子マネージャーになったら』も実現するかもよ!
…えーと、読みたいのは本当だ。
(※余談ですが、伊藤氏ブログのコメント欄で古橋秀之推してるのは僕じゃないですよ。つまり、今気づいたが、世の中には古橋秀之伊藤ヒロ両方好きっていう人が私以外にも少なくとも一人は存在するってことだね!ひぇ。)


  • 花よりも花の如く(第8巻) (花とゆめコミックス) [ 成田美名子 ]

(アマゾンは書影なし。花よりも花の如く 第8巻 (花とゆめCOMICS))
やっぱり、一年で一冊は待ち遠しいよ〜



というわけで、成田美名子の描く能マンガ『花よりも花の如く』8巻でございます。7巻発売時に「ランク王国」にてランキング入りしてた時には、この作風で、と正直驚いたもんですが。*2あー、でも確か『NATURAL』もランクインしたりしてましたっけ。“人気作家”なんだよな、考えてみりゃ。
今回も成田作品の持ち味である、心の機微が丁寧に描かれてます。うーん、いいお味。結局、大上段にならない、日常と地続きな描写なのがいいんだよな。この構造を青年誌ノリでやってるのが『宇宙兄弟』(小山宙哉)、じゃないかしら。
正直今回は、初見で「ヒューマンドラマでなく、職業モノになっちゃってねえか?」て印象も受けましたが、それもそのはず、今回は(この作品においては)“生活”としてある能でなくドラマ業界に“出張”する話なんでした。そろそろ能を、演目を話に絡めて欲しい所かしら。
あと葉月はヒロインなの?僕は『ALEXANDRITE』のアンブが好きでした、見てる分には。そりゃともかく、『花花』は成田作品初(だよな?)の学園モノじゃない、大人の世界なんで、そこで恋愛とか描けるのかなー、葉月はどうなるのかなー、とか思ったり。まあ、成田ファン自認する30前の男性として、正直関心は薄いが。
『NATURAL』最終巻収録の読切版で、憲人にプレゼント渡した子とかどうしたんでしょうね、とか。あの娘、弓道着着てたでしょ。あの服、結構体のラインがセクシーに出るんだよ。夕日に染まる教室で僕はそう思ったんだ、何。

*1:ていうかシリーズ物以外では、本当に作品ごとに世界観をガラッと変える人なんです。

*2:余談ですが、「ランク王国」の先週の放送で『ちはやふる』と『乙嫁語り』の新巻が続けて紹介されたのは、両方買った身としてちょっと嬉しかった。