『たいようのマキバオー』連載150回突破ということで、BSマンガ夜話より大月隆寛の『みどりのマキバオー』講談をば。

週刊「プレイボーイ」掲載、『たいようのマキバオー』連載150回突破おめでとうございます。(2週遅れ
前作にあたる『みどりのマキバオー』が、週刊少年ジャンプにて149話連載*1、増刊赤マルジャンプにて(真の?)最終話掲載*2、という全150話でしたので、この度『たいようのマキバオー』は前作の話数突破すると同時に、つの丸の最長連載作品ともなったわけですな。
正直、長編物語としてのペース配分はうまくいってないように思えるんですが(場面ごとには、きっちり山場見せてくれてます)、ここに来て“物語を背負った”キャラ達も出揃ってきた・・・のかな?連載100回時には、プレイボーイ誌表紙つの丸ほしのあき対談*3掲載&人気投票&馬名募集プレゼント企画、となかなか破格の扱いでしたが*4、今回の特別企画は151話掲載号につの丸イラストが載ったぐらいでややさみしい。

・・・いや、これはこれでスゴいのかも。



さて。『たいようのマキバオー』連載開始時、私がコミュニティサイト「空間コミックビーム」上に書き散らした日記、もといテキスト起こしというやつですか、が出てきたので再掲してみます。(もとの日記は、サイトごと消えてますんで。)祝辞であり、エールのつもりであります。
(※なお、脚注はすべて現時点から書いてます。)

うれしいじゃねぇですか。あのマンガが帰ってきたのだ。マキバオーですよ、マキバオー
かつてジャンプに連載された、競馬漫画『みどりのマキバオー』。2006年マンガベスト10*5で、1位に山松ゆうきち*6を選んだ俺が惚れないわけがない。2位に越智善彦*7を選んだ俺が楽しまないわけがない。3位に山田芳裕*8を選んだ俺がシビれないわけがない。ていうか実人生にて今のところ、生涯で一番涙したマンガだったり(苦笑)*9。だいたい私、作品読んでて泣きそうになると自然と意識にブレーキかけちまうタチなんですけども、マキバオーの場合はもう話に入り込んでそれどころじゃなかったのよ。嗜好にビリビリきたんですな。



さて、かつてNHKのBS-2では「BSマンガ夜話」という1時間のマンガ評論番組が放送されていました(現在休止中*10。)。その番組でも『みどりのマキバオー』が取り上げられたことがあるのですが、この回はすごく盛り上がった。私的には『ナニワ金融道』や『嗚呼!!花の応援団』の回に比肩する傑作回となった*11。傾聴に値する指摘はいくつも聞かれましたが、番組中最大の白眉となったのが、民俗学者にして競馬好きの司会者・大月隆寛による一人解説(共演者・夏目房之介いわく「講談」)。これマジですばらしいので、みんな(誰だよ)にも聞いてほしい、ということでテキスト起こしというやつに初挑戦。あるいは言祝ぎにして附祝言*12


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語り手:大月隆寛
聞き手:いしかわじゅん岡田斗司夫夏目房之介犬山犬子古田新太笹峰あい
放映日:2000年11月2日(生放送)
※()内記述はgenbaraの補足。



失礼いたします、(番組)五年目にして初めて(解説のため前に)立った大月です。
 えー、競馬マンガというのはいろんな系譜あります。大昔ですと、さっきも話してたんですけども、つのだじろうさんの『俺の太陽』なんていう実写でテレビでやったマンガがあったり、『駄馬コマンコスキー』とかいろいろあったんですけれども、この『(みどりの)マキバオー』、何がすごいかっていうとやっぱりその、読者の側とのやりとりといいますか、読む側がですね、さまざまな物語というかおはなしを重層的に読むことができる。それはもちろんさっき誰かおっしゃったみたいに、スポ根もののいろんなおはなし、あるいは『瞼の母』とかですね、日本の大衆演劇・大衆文化の広大な部分から吸い上げた部分もあるんですけども、まず競馬としていろんなおはなしが読める、競馬好きにとっちゃたまらない所があるということですね。



図:マキバオーの誕生した「みどり牧場」/単行本1巻8p(文庫版1巻16p)1コマ)
 まず「北海道鵡川 みどり牧場」というこの設定からして、競馬好きならばまず涙を出す、ということがあるわけなんで(笑)。



図:北海道・日高の地図
一同どよめく
 どういうことかといいますと、今地図出ました。はい、北海道日高です。今日本のサラブレッドの8割から9割ぐらい、大体今この辺で生産されているわけなんですけども、日高日高と言っても広うございまして。北海道の方、いたらいろいろ意見を送っていただきたいと思いますけども(笑)。だいたい我々が、北海道のきれいきれいな牧場という形で、あー馬が自由に遊んでて、てイメージ抱くのは、大体このまあ、静内とか浦河とかですね、あるいは新冠あたりのまあ、建物もきれいな牧場、という感じが多いんです。
 なのに、なおかつあえて鵡川というのは、これは何かよっぽどくわしい人がいるに違いない。つの丸自身がくわしいのかどうか僕わかりませんが、少なくともブレーンに相当、なんちゅうかディープな人がいたんだろうと。門別とか鵡川っていうのはどういう牧場が多いかというとまあ、いわゆる大手の牧場というよりも、一生懸命家族で馬育ててる、はっきり言って70年代に減反の代わりに馬始めたような農家がいっぱいいて、零細のがんばってる所がいっぱいいる所なんです。そこの「みどり牧場」で、あのオヤジなんです!



岡田:熱いなぁ。(一同笑



間違いないんです(笑)。本当に道端で小便するんです、牧場のオヤジってのは(笑)。そういう所からして、まずもう普通じゃない。鵡川ってだけで泣けます。最後、だから言ってるでしょ。マキバオー抱いて「鵡川へ帰ろう」って。あれでおそらくこの辺の人泣いてると思うんですよね、間違いなく(一同笑)。もう、そういうところからしてコレただもんじゃないと思いました、ハイ。



図:ライバルの本多リッチファーム/単行本1巻152〜153p(文庫版1巻160〜161p)1コマ)
 これは金持ちのほうの牧場ですね。「おっきい牧場」て本当はもっと大きかったりするんですけども。こういう、いわゆる何て言いますか、マーケットブリーダーとかって言うんですけども、売り馬を作って商売してるような大きい牧場、あるいはオーナーブリーダーでも大きな資本で金かけてやっているような牧場に対して、まさに飯富兄弟(おぶブラザーズ)がですね、やってるわけですよ(笑)。弟が牧場やって兄貴が放浪の果てに調教師やって、お互いでやりあってるっていうそういう勝負なんです。



図:本多リッチファーム社長・本多平七郎/単行本1巻152〜153p(文庫版1巻160〜161p)4コマ)
 これ金持ちの方の顔ですね。本多リッチファーム。まあいろいろモデルがいるんじゃないかとか言われてますけども(笑)。こういう金持ちの牧場に対して、頑張ってるああいう日高の零細の地元の、まさに心意気と根性で馬を作ってる牧場、って物語があるわけです。



図:生まれたばかりのマキバオー/単行本1巻14p(文庫版1巻22p)6コマ)
 で、馬もそれぞれ物語を背負ってる。マキバオーってのは正にさっきも出てました・・・ま、これ馬だって言い張るところがまずすごいんですけども。白毛ってのがありますね。白毛ってのはまあ、毛色として最近認定されてるんですけども、実は突然変異で、本当にまあ、なくはないんですけども珍しい。ただ、これに重なってるのは間違いなく、マキバオーに重なってるのは例えばオグリキャップであるとか、あるいはここ(※飯富のセリフ)に出てきますメジロマックイーンビワハヤヒデといったような葦毛と呼ばれる、最初グレーで白くなってく馬がいるわけなんですけども。こういう馬たちはなぜか悪役じゃなく、ヒールじゃなくて割とこう善玉として語られる場合が多いんですけどそういうものが重なっています。間違いなくオグリ伝説みたいなものを下敷きにして我々が読めるような形になってると思うんですね。
 オグリキャップというのもあれは、非常に小さな、それまで地方競馬にしか行ったことのないような馬しか出てない牧場でいきなり出てきたとんでもないヒーローで、しかも、あれは岐阜の笠松競馬場という地方競馬から中央に殴りこんでなで切りにしたっていう、その前提にはもっと前のハイセイコーとかの伝説もあるわけですけども。そういうものが全部、この絵を見た瞬間におそらく競馬好きならばいろいろワーッと引き出されてくると。



岡田:えーっ。
古田:この弱い絵を!(一同笑



この弱い絵で(笑)。これでオグリは見るわマックイーンは見るわビワハヤヒデは見るわハイセイコーは見るわという、戦後の中央競馬の歴史なり日本の競馬の歴史が見えるということになっとるわけであります。はい、次行ってください。



図:ライバルの競走馬・カスケード/単行本4巻87p(文庫版3巻51p))
 はい、そしてカスケードであります。えー、デスクの某女性もですね、今回(のシリーズで)4回やったマンガの中で一番いいのがカスケードだと(※『みどりのマキバオー』と同シリーズで取り上げられた作品は『聖闘士星矢』『正しい恋愛のススメ』『ホモホモ7』)。何か趣味に問題ある人じゃないかと思うんですけども(笑)。
 これはもうどう見たって花形満とか、あれですよね、あとで話も出てくると思いますけども力石徹なわけなんでありますけども、これは徹底したエリートの集約像であります。親がヒロポンという外国産の牝馬、なおかつ父がサンデーサイデンスという、これはもうサンデーサイレンスという今日本で一番価値のある種牡馬のことなんでありますけども。もうこれでもかというエリート像のてんこ盛り、しかも5戦無敗とか6戦無敗、負け知らずなんでありますね。で、かつてならばシンボリルドルフ、あるいはある時期までのナリタブライアンとかですね、そういう強い馬のイメージというものを、ある種かたき役であり尚且つヒーローでありというのを体現したようなものであります。無敗のままいく。今テイモンフェローが無敗ですけど、今年に入ってからね。そういったような無敗馬伝説、あるいはその真正面からのヒーローというものを体現したものであります。これと零細からのマキバオーです。



図・サトミアマゾンの術懐/単行本6巻35p(文庫版4巻71p)1コマ)
 はい、これはサトミアマゾン。「地方競馬は、地方は何なんだ。ここは、船橋は何なんだ。地方は中央の2軍だというのか・・・!」。私はもう声を大にして言いたいんですけども(一同笑)。これも、もう競馬好きが見たらモデルはいるし、もう何頭も出てきます話が。



図・船橋競馬場/単行本6巻36p(文庫版4巻72p)4コマ)
 あ、これ船橋競馬場です。これザウスです船橋の。これららぽーとなんですね。これ船橋競馬場のスタンドのおそらく4コーナー回ったぐらいから写真撮ったんだと思いますけども(一同笑)。ここから出てくる、ここ在籍のまんま中央に殴りこんだという物語。これはさっき言いましたハイセイコー以来の地方武士伝説・野武士伝説てのがあるんですけども、直接にはアマゾンオペラとかいろいろいたんですけども、あるいはジャパンカップシンボリルドルフの2着に突っ込んできたロッキータイガーとかですね、まさに地方から中央に殴りこむという物語を体現した、これがサトミアマゾンであります。



図・レース中、仲間のことを思い出すアマゾン/単行本8巻90p(文庫版5巻192p)1コマ)
 「俺たちの分も頑張ってくれ!」地方の馬たちが言うわけですね。アマゾンの邪魔になっちゃいけない、(ということで)けいこの時は馬場ぼう(←※聞き取れてません)をよけるような連中なんですけども、こいつらの分まで物語を背負って走ってるということが体現されてます。
 その他、あるいはアマゴワクチンもそう(※「物語を背負ってる」)ですし、モーリアローもいましたね。あれだ、借金でちりぢりばらばらになった牧場の子供のために頑張る。モーリアロー、ほとんど左門豊作みたいな存在でマキバオーは負けるわけなんでありますけども、気持ちの上で。



図・マキバオーをマッサージする山本管助/単行本7巻148p(文庫版5巻66p)2コマ)
 で、人間のほうです。山本管助。チビ菅と呼ばれています。ジョッキーの中でもちっちゃい。なおかつ大したジョッキーじゃ、おそらく最初はないです。で彼が乗っていたフウリンカザンですか、競争中止予後不良。おそらくあれ薬殺されてます。で死んでしまって具合悪くなる。本当に調子が悪くなって馬に乗るのも嫌になる。よくこういう話は競馬の世界、やっぱりあります。で厩務員さんとかほんと落ち込んじゃって仕事できなくなるとかあるんですけども、でもマキバオーという馬と出会うことによって、彼が強くなることによって――



図・有馬記念決着後、ガッツポーズで絶叫する菅助/単行本12巻135p(文庫版8巻91p))
 っ、菅助も強くなる。このシーンいいんですよ。これ有馬勝った時ですよね。で大の字になって泣くんですよ。ほんであの(観客の)ゲーハーオヤジ達が「わあ泣き虫菅助また泣いてるよ」って言いながら泣いてるんですね。



図・泣きながら述懐する菅助/単行本12巻137p(文庫版8巻93p)1コマ)
 で、これなんですよ。「親分さんはやっぱり泣いたりしないだろうな」、チュウ兵衛(のこと)なんです。「みっともねぇって笑うだろうな」っていう・・・。ねぇ、勝ったあと芝生に大の字になって泣いた騎手っておそらくいないと思うんですけども、でもこういうことがありうるんだということを、おそらくつの丸わかってるんですね。うん、わかってるんです。おそらく馬と一緒に生きて仕事をしている人のリアリティ、「うまやもん」っていう言い方ありますけれども、気持ちってのはやっぱりこういう所があるから、競馬場の人みんな読んでます。俺の馬にもチュウ兵衛親分乗ってくれねえかなあ、なんて言ってる人がいるわけなんですね(笑)。
 だから、こういう所のなんていうか手触りみたいなものを描ける、つの丸っていうのは。それぞれ人も馬も全部物語を背負った存在として、それが競馬という舞台で集約されている。それをまた読む側ってのが、まあダビスタによってカリキュアライズされたり、あるいは競馬ブームによっていろんな情報入ったこともあるんでしょうけども、よく知った読者が広大にいたところに一つ放り込んだからブレイクした。そういうことだと思いますね。



図・草競馬が催されるお祭り会場/単行本9巻88p(文庫版6巻86p)1コマ)
 はい、僕の大好きな宮蔦一家であります。マキバオーがやさぐれている時に北海道にいた、いわゆるこっち方面の人(※ヤクザ)でありますけれども。日本の競馬の原点、これJRAの人ごめんなさい、言わせてもらいます。ほとんどこんなもんです。かつての草競馬中央競馬の原点っていうのは「お祭り競馬」って呼ばれた本当にお祭りごとに興行して回る、農耕馬使ったそういう、なんて言いますか楽しみのための、バクチももちろんやるんだけども、そういう競馬だったんです。



図・草競馬に出て行く馬/単行本9巻90p(文庫版6巻88p)1コマ)
 (このマンガでは)そこに居るのが、かつては中央で、いろんな所で走ってた馬たちのなれの果てなんですね。で「いっちょいいとこ見せるか!」て出て行くわけですよ。ここでやっぱマキバオーはある種、自分の競走馬としての位置といいますか仕事ですね、こいつらとは違う(と自覚する)。俺たちとお前は立場が違うんだから、という形で励まされていく。この競馬を描けたというのは、日本の競馬マンガでおそらく無いと思います。で、これをつの丸が知っていたとしたら、僕はやっぱりすごいと思う。なにか相当いいブレーンがついてたんだろうな、とやっぱり思いますけどもね、うん。



図・競馬ワールドカップ会場/単行本13巻113p(文庫版8巻245p)1コマ)
 ただそれが第一部までで。まさにダービーから有馬記念でカスケードとの対決のダービーが終わって、そのあと(連載を)続けなきゃいけないときに「世界」が出てくるんですね。これおそらく夏目さんが後でもうちょっと詳しく(マンガの世界化、という観点から解説を)やっていただけると思いますけども。
 日本の競馬が国際化という大きな障壁にぶつかり始めたここ十数年ぐらいの間、ジャパンカップなんか始まって、あるいは外国産場の障壁とかいろんな細かい話があるんですけども、まさに今世界の競馬マーケットを動かしてる一つの大きな力にアラブのドバイの、いわゆる馬主さん達がいるわけです。



図・ドバイの殿下/単行本13巻45p(文庫版8巻177p)2コマ)
 これなんかサダム・フセインみたいな親父が出てきてますけれども(笑)。まさに「競馬のワールドカップです!」ていうのはこれ実際、冗談ではなく今動いている構想でありまして、F1のように世界中一年間通じてツアーを組んで、競馬の各国対抗みたいなものをやろうじゃないか、てなことをドバイを中心にして多少やってるところがあるんですね。おそらくそういう情報を入れてたんだと思います、つの丸さんっていうのは。おそらくドバイにも行ってるんじゃないかと僕は思いますけども。



図・WC前、日本チームの馬たち/単行本13巻112p(文庫版8巻244p)2コマ)
 で、一部じゃそれぞれライバルとして戦ってきた、それぞれ物語を背負ってた馬たちが、今度は「日本」という枠の中で、世界と戦わなきゃいけなくなってくる。その時に・・・やっぱり僕、これ2部うまくいってないな、と思うところ正直あるんですよね。で、マキバオーが物語の中心になりにくくなってくる。途中でいっぺん落ち込むでしょう、マキバオー。ダメになるんです。ダメになってどうするか。支えられなくなった時に出てくるのが。



図・WCで走るベアナックル/単行本15巻73p(文庫版9巻285p)1コマ)
 ベアです。



夏目:(笑)
犬山:ニャキニャキニー!」(笑)



ニャキニャキ」!「猫魂」!っていうね、これもう僕何度見ても泣けるんですけども(笑)。一部じゃ単なるバイプレーヤーです。非常に個性的なバイプレーヤーで、非常になんかわけのわかんない、コメディリリーフみたいな形になってるんですけども。二部になってシンガポールから泳いでドバイへ渡ったあとのベアっていうものは(岡田・犬山:笑)、もうマンガの中でも神話的存在です。馬じゃないです、これは。



図・最後のレースを走る、異形のベアナックル/単行本16巻180p(文庫版10巻276p)1コマ)
 これですよ(一同爆笑)。俺この絵はね、すごいと思う。ここだけ違いますよ。馬じゃないです。これ最後の16巻で本当に、どうやって物語を終わらせようかとした時にですね、後輩たちを引き連れて走ってるんですけども、先頭走ってるこれ違うもんですよね。馬じゃない。スフィンクスかなんかじゃないかと思うんですけど。



古田:だって尻尾が・・・。



尻尾(の形)がライオンになっているんですよ(笑)。
 でもマキバオーが2年ぶりにここで復帰する。あのケガからね。あれにもまあテンポイントとかライスシャワーとかサイレンスズカとか、いろんな骨折馬の物語ってのがあるわけなんですけども。でマキバオーが戻ってきた時にやっぱりいっぺん泣いて、でベアが野生動物協会結成みたいな形で帰ってきたところで(笑)、もう最後のこのレース、それこそブリッツと兄弟対決するレースっていうのは物語の中の物語、本当に神話になってます。で、常にやっぱ戦いは続いていく、挑戦は続いていくんだぞ、ということになって、もう一ぺん牧場に戻して、あれですよね、おっかさんのミドリコがマキバコの産んだ孫を世話してて、ショー・マスト・ゴー・オンて形で続いていく。
 まあ、あの終わり方しかなかったんだろうと思いますけれども、そういう意味で言うと2部以降のベアの化けぶりというものに、国際化に直面した日本の少年マンガに象徴されるような、あるいは競馬でもいいんですけども、それまでの戦後的物語ってものが非常に厳しいところに今過渡期をおかれてるな、ということを逆にはやされているんじゃないか、てのもちょっと読んでみました。失礼しました、だいたい以上です。



一同拍手


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公共電波を11分余使って、生放送でこの語り。僥倖じゃあないですか。そりゃ文庫版最終巻みどりのマキバオー (10) (集英社文庫―コミック版)の解説も依頼されますよ、大月隆寛

・・・というわけで、私が「BSマンガ夜話」に絶大な信頼を寄せる理由の一端は、たとえば“これ”なのですよ、うん。

*1:最終回掲載号の巻末コメント、「次週は150回記念カラー、読者プレゼントも開催・・・のはずでした。」といった内容が印象的でした・・・。

*2:その後、つの丸がジャンプで連載した『ごっちゃんです!! 』も、同じく増刊に最終話掲載。いいんだか悪いんだか。

*3:←目次ではこんなの。雑誌が雑誌だしねえ。

*4:ただし、投票結果も採用名についても発表見た記憶ないんですが。やってましたっけ?

*5:「空間コミックビーム」サイト上、掲示板での企画。

*6:『インドへ馬鹿がやって来た』インドへ馬鹿がやって来た

*7:『海の人』海の人 (マジキューコミックス)ああ、越智善彦の新作が読みたい。

*8:へうげものへうげもの(3) (モーニング KC)

*9:読書中のスパンの長さということでいえば、今でもそう言えるかも。

*10:2007年3月時点の話。その後、一旦再開されるも、2009年12月の放送を最後に再び休止中。

*11:うーん、ここは明らかにウケ狙いで両作品ともタイトル挙げてますね。どちらも実際、(真面目な評論も込みで)おもしろかった回なんですけど。

*12:祝言(つけしゅうげん)とは能の用語で、「プログラムがめでたく終わるよう、めでたい曲の一説を地謡が謡うもの」と、能マンガ『花よりも花の如く花よりも花の如く (1) (花とゆめCOMICS)成田美名子)より。覚えたてで、気に入ってた言葉なんで使ってます。子供か!余談ですが、『花よりも花の如く』5巻と『たいようのマキバオー』1巻は発売日が同じです。本当に余談だな。