ハルタ 2019-JUNE volume 65

※先々月号です。



丸山薫『図書室のキハラさん』/大きな図書館には古い資料用の殺菌装置もあるそうだが。投げっぱなし壮大オチは絵力あってこそ(連載スペース帯裏だけども)。

佐野菜見『ミギとダリ』/新たに犠牲者が。いや、ガチでサスペンス展開じゃないか。どうなるんだこれ。

なかま亜咲『鉄機のダン』/新連載。下ネタとロボ、相変わらずだ。

九井諒子ダンジョン飯』/扉絵、各々が抱擁する中でライオスお前…。

→毎度本編1ページ目の使い方が導入として上手いわけだが、今回はカブルーとミスルンのやりとりを二人の位置関係は一定のまま(かつ物語の進行方向に視線向けつつ)、アングルの微妙な変化によりメリハリをつけているわけである。
/巨大モンスター登場も、前回のキノコとはうって変わっての迫力。上段見開きコマ(上右左に断ち切り)内、右ページからノド左までに巨大破壊音オノマトペ、左ページにモンスターと破壊された壁。右ページ下段、各々の反応する表情を複数コマで。左ページ下段、下方向に断ち切りの大ゴマでモンスターの胸部より上。その間の表現からページめくると上段、右コマでコマ右方向に枠線からはみ出す巨大足、左コマ内で右上から左下への流線→巨大足、という攻撃描写。
/しかし、他人に意志を託すという情であり覚悟の展開がここで生まれるとは予想外だった。キャラとしての背景、それを包括した世界設定まで描かれてきたからこその帰結・カタルシス・お約束。
/そこから一転、主人公側のパートがノリはコミカル、ディティールとしては同等に濃いというのがまた物語として見事なのだけれども。通信方法は妖精。ミスルンにご飯云々のセリフ、カブルーの足のキノコは布石でしょうな。

入江亜季『北北西に曇と往け』/動物の描写が上手い。話は引き延ばし感ありありだが。

近藤聡乃『A子さんの恋人』/そこで憧れを捨てられないのは美大出身者という内面ぽいよな、とも。

→ノドをまたいで左ページ上段。電話しながら向きを変える、通話相手以外の人に話しかける、という吹き出しと動作の表現。

→めくって右ページ。LINEを打った側と読む側、という吹き出しと視界の表現。

樫木祐人ハクメイとミコチ』/虫キャラの感情描写。設定的にはだいぶツッコミ所だが、まあ溶け込んでいる。

●設楽清人『忍ぶな!チヨちゃん』/告白からこの扉絵への落差はひどい。色恋がバトルにどう出るやら。

森薫乙嫁語り』/お伊勢参り…とはだいぶ違うものか。未知の文化への反応もまた文化。

八十八良『不死の稜線』/ですよねー。

福島聡『バララッシュ』/達成と虚脱感からの導入、そして承認。クリエイターとしての“できるようになる”という感慨は、案外こういうものかも。回想内容はひどいというか、その動機を知っててビシバシ鍛えてくれた上司がえらいよ。
宇部の手叩き、真相、別の道へ。宇部にとっては「俺らの出した企画」で、すでに共同作品でもあったのだよな。実作者と監修者という意識の差でもあろうが。「感謝してるんだよ」のコマが、『ローカルワンダーランド』中にて初出のコマのアレンジというのが、局面としてはまた効いている。
/PIYOPIYOエプロン姿で最大級に物騒なセリフを吐く宮城さん、これが萌えってやつか。(そうかな?)