月刊コミックビーム2018年11月号

  • 巻頭カラーは、『ハード・コア』特集としてシーン集と映画化までの経緯解説。「奇跡の映画化」と打ちたくもなるな、これは。



いましろたかし『未来人サイジョー』/新連載。オリンピック後の近未来日本、という閉塞感のイメージ。主人公の『まんが極道』じみた境遇がまた別ベクトルの重さでからみ合う。そうだよな、ストーリーものでもこのやりきれなさが持ち味だもんな。

●田辺剛(原作:H.P.ラヴクラフト)『時を超える影』/謎機械を使う謎生物集団の見開き、よいなあ。『恐怖の山脈にて』読者にとっては、古代と未来、前作主人公と本作主人公、という対比の光景。

西尾雄太『水野と茶山』/新連載。『繭、纏う』読んで、俺にも百合がわかる!と思ったけれども、これ読むにやっぱりよくわかんないぜ(正直)。なんか絵柄メインのハルタ作家にありがちなカットバック文法だけども(ちょっと前のビーム誌面なら志村貴子?)、こっちは意図のもとやっているのはわかる。その核自体は見せたくないのね。

三宅乱丈イムリ』/選択する時。人の心が伝わり燃える様が静かに熱い。この説得を冷静な信念として描く為にこの紙幅は必要だったし、だからこそ、その物語の内圧は揺るぎない。俺達は地蔵じゃねえっ…人間だ…!(ごめん、言いたかった。)

三家本礼『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』/脈絡なきサービスカット(腋毛)。これも百合要素ありはするんだよな…。主人公の一喝も健在。

●谷口菜津子『彼女と彼氏の明るい未来』/VRによる過去の疑似体験、て衆人環視かよ。この体験との対比でタイトルにある「未来」なのかな。

イシデ電『猫恋人』/猫アレルギー。題材的にはもっと早めに出ててもよさそうなネタだが、ここまで練り込むのがストーリーテラーらしさではある。

おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/酢豚のパイナップル。これはかなり難問に思えるが、どう結論づけるかねえ(次号休載)。どくフラワーの設定は後付けだよね?

●オカヤイヅミ『ものするひと』/田舎の夜はコンビニないと闇だからな、本当。

丸尾末広トミノの地獄』/終戦を機に境遇は好転しているようにも見えるが、さて。

羽生生純(原案:片桐健滋、梅本竜矢)『ルームロンダリング』/すんなりといい話でしめさせないのが羽生生節、にしてもテンション変わりすぎでは。霊って便利なガジェットだよな。次回最終回。

●伊図透『銃座のウルナ』/そういう戦いを選ぶのか。原点はぶれず、認識が変わった、生きてきたが故に。

新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/えええ。いやいや、どこに向かってるんだ、この作品。赤ん坊の視界という構図の巧さは流石だが。

●二宮亜子『のんびりたのしく』/読み切り。ソーラークッカーかあ、『ヘウレーカ』の太陽光ビームみたい(おい)。調理に時間をかけるという贅沢ではあるのかもしれん。“自然”の楽しみ方でもあり。
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上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/ベンちゃん、そんな姿になって…。まあおなじみ落差ネタなんだけども、このテンポとずらし方が楽しい。

●青色イリコ『ワシとゆきさん』/出張掲載。転生落差コメディ、かつ子供の世界。

●うすね正俊『砂ぼうず』/あっさりと散ってゆく。予想できた展開にしてもつらい。作者コメントにも「描いててつらかったです」と。

●ハセガワM『マリアの棲む家』/元々のグロ系ギミックの絵力に、デジタル処理あわさってさらに気持ち悪い絵面に。すごいな。


  • ビームのニコニコチャンネル閉鎖。資金面の理由ではなく。貴重な映像群は何らかの形で残してほしいが。
  • 次号、松田洋子、小山健が新連載。