※先月号です。
●オカヤイヅミ『ものするひと』/巻頭カラー。喧騒の場が離れた所にあり、そこに合流し、しかし乗れず、で、それは各々そうらしいという情景。フォント、オノマトペ双方が、絵として音として効果的に映える。
●上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/ナイト・オブ・ザ・リビング・キャット。エンディング(?)で藤子Fの『流血鬼』いいよね、となったわけだが、あえてぼかしている増殖の部分で、さくらももこ『神のちから』のさえないオッサン増えていく短編連想しちゃってよくない。
●伊図透『銃座のウルナ』/終焉。どこかへ、と言われてもどこへも行けなかった者。死ぬことを許されなかったその場所で、自らは殺す側であったことをもう一度思うという。
●原百合子『繭、纏う』/王子と姫の逃避行、と。古典的な少女漫画ガジェットでありつつグイグイくる。像の描かれない美。救われた側であったわけか、そりゃ惚れるわ。
●三宅乱丈『イムリ』/その“敵”の内実に愕然とさせられる。奴隷、そして本当の心という、ラルドやデュルクの物語に対する、悲劇の渦中としてある人物の姿が、今。局面で描かれる感情の、物語としての重みのぶれなさがすごい。
●新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/いやもう悪意の果てって感じの描写でみなぎってますけど(つい笑っちゃうけど)、ここまで主人公孤立させてどうするんだろ。投げないでね…。
●おおひなたごう『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/イクラとすじこ。というか普通にホームドラマだよ。
●うすね正俊『砂ぼうず』/正直、読んでて戦況も把握できてないんだけども、戦略の要素入るとやっぱり光るね。
●conix『青高チア部はかわいくない!』/夏の高校野球シーズンなんだから、もっとこの作品が話題になってもいいじゃないか。『実録!!関東昭和軍』みたく目されてたりすんのか。/抜け忍、ピュア力との対峙。内輪の方では軟派エースの処遇問題。しかし主人公勢がぶつかりあい成長しという学園マンガメソッドこなす一方、一つ次元が上の悪役として保護者が君臨し続けるのはコミカルながらシビア。
●小山健『生理ちゃん』/単行本宣伝掲載。生理と性欲のキャラクター化で入れ替わってるー!と設定だけ見るとコメディ調だが、意外にも青春なドラマツルギーでよかった、オチもほろにがし。真面目な作家だな、と思わせられる。
●中野シズカ『In the Garden』/編集部ツイッターでも紹介されてたが、今回は便器と手洗い場のコマが目を引く。
こんなに美しい和式便所、ハジメテ!! https://t.co/merfrLF5JC
— コミックビーム編集部 (@COMIC_BEAM) June 15, 2018
- コマンタレビーマー、高級ホテルとホームレスっていい図だな。
- 表3は『生理ちゃん』単行本広告。KADOKAWAで押してるのかな。