- 表紙、この絵面に「追悼[狩撫麻礼]」の文言というのがビームだよなあ。
○狩撫麻礼の訃報掲載。唯一のサイン会おこなえたのは編集部誇っていいだろうな。その作品自体は、総編集長・編集長が以前いた秋田書店での連載作で、途中からは未単行本化のまま完結して、二人が移ってきたビームで全話単行本化にこぎつけ、18年後の今年映画化され公開予定、というのがまた。掲載作品リストについては正味、未完作品の多さもね。
○作・TKD、画・田辺剛『狩撫麻礼さんがなくなった』/追悼寄稿。先達との会食風景。シャイな一面という結末が心にくい。
○作・カリブsong、画・田辺剛『ポンヌフ橋の放浪芸人』/狩撫原作では最後のビーム掲載読み切りを、改稿の上で再録。前掲載時の私の感想は「これも神を見た身の話か。」というものであるが、今回のラストは完全に『LIVE!オデッセイ』であるな。企画上、そこまでやって正解だろう。
○TKDの連載コラムと竹谷州史のイラストでも狩撫氏を追悼。安永知澄のカラオケ(小林旭)に腕組みして聞き惚れる狩撫麻礼か…。竹谷氏はさらに長い文章をtumblrに書いている。
tumblrで
— [やすらかモンスターズ②]ついに発売&勝手にアニメ化@竹谷州史 (@takeya_syuji) 2018年2月11日
狩撫麻礼さんへの
追悼文を書きました。
今、冷静に
読み返してみたら
ずいぶん長くなっちゃってますが、
つらつらと思い出話を
まとめたもなので
ものすごく暇なときにでも、
読んでみてください。
https://t.co/dtYaJ1taMX狩撫さんと私長い文版 pic.twitter.com/x0CPt3l2C4
○奥村総編集長コラムも狩撫氏について。なぜペンネームをバラバラに変えたのか、の奥村流分析。
※個人的には、須藤真澄の描いたビーム10周年号掲載カット中の狩撫麻礼が好きだったりする。
※なお、私が狩撫氏の訃報流れた日にしたツイートはこんな感じで。(岩井編集長のブログによると、各社編集者間で取り決めていた発表日を小学館がフライングしたっぽいのよね…。)
狩撫作品最終作が大川端探偵社になるとして、ドラマ版でその主人公演じてたのがオダギリジョーで、オダギリジョーの出演映画を今コミカライズ連載中なのが羽生生純で、かつて羽生生純は狩撫原作の仕事に失敗していたというツイが流れてきて、と。
— 原原カカリヤ (@genbarakakariya) 2018年1月15日
狩撫麻礼の訃報とアイマスミリオンライブのサービス終了日発表でWショックとかどんな日だよ、もう。(そんでどっちもかつて俺マンに投票してたなあって)https://t.co/AmyR7o2xm5https://t.co/8xJ7Fu1bmp
— 原原カカリヤ (@genbarakakariya) 2018年1月15日
●原百合子『繭、纏う』/新連載。表紙絵がお綺麗。女学園もので、百合作品というくくりでいいのかしらん。髪の毛で制服を作るというのは、独特な身体感覚ではある。『やさしいからだ』でも全身を覆う膜というネタあったな。醤油にするんじゃなくてよかったとハゲ気味のおじさんは思った。
●三宅乱丈『イムリ』/すべてが失われてゆく、転げ落ちていくかのような絶望感、からの。ここで次号休載って、ああ(絶望)。/緊迫感すごくて、読んでて本当呼吸おかしくなったんだけども。自陣側がセリフ発するのは冒頭の一コマのみで、後は流れていくかのような見せ方の巧さで、ページめくりをまたいでの構図切り換えも抜群で、2ヶ月待つ価値あるよな、これは。
●中野シズカ『In the Garden』/新連載。庭師VS松葉、絵で楽しませるマンガ空間。なんかタイガー立石とかのアーティスティックな大人漫画の系譜に連なる芸風とも読めてだな。
●伊図透『銃座のウルナ』/地縁が、他所者であるということが、これまでの展開から逆照射されていく戦時下の状況。サブタイトル「あの友情の丘で」がまた皮肉めいてて。変わらぬ光景の美しさとその中でうごめく人々の感情、という描写が戦地・故郷どちらのパートにも通じており、この作品の一つのテーマといえそう。
●うすね正俊『砂ぼうず』/膠着から総攻撃と脱出作戦へ、という局面までもが、どうやら暗躍者の手の内にありそうな。
●市川ラク『わたし今、トルコです。』/トルコ漫画事情。日本マンガ=MANGAは世界共通語だ~とか言ってても、実際海外出ればバンドデシネも(アメリカン)コミックも共通語だというね。「新聞の風刺マンガが起源の『カリカトゥル』」≒カートゥーン≒大人漫画は、むしろ日本では見なくなってしもうたわけで。伊藤潤二はトルコのみならず普通に世界的に人気だってばよ。/というわけで、作者のトルコマンガ誌持ち込み編。行動力!そして成功!(あっさり。)トルコにはもうスクリーントーンがない、という発言はなかなか衝撃的。そして、原稿料の相場は普通に日本(の一部)よりいいのでは…。日本と異なり海外作家はマーベルやストーリーボードで稼ぐ、というのは言われてみればなるほど。
/そして、作者はツイートがバズっておられますな。買おう、ビームコミックス!
緊急時に、よく動けるトルコ人。 pic.twitter.com/JlHhWt6owj
— 市川ラク:連載中『わたし今トルコです。』 (@Raku_ichikawa) 2018年2月27日
●イシデ電『猫恋人』/妄想に勝る女などいないのだ。そういう話ではない。
●新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/ほれ、小学生女子の入浴シーンだぞ、はおいといて。え、捏造写真じゃなくて種と思想まいてたってこと?目的の為に管理されていた夢、となると相当キツい話ではある、ここまでのテンションとの落差からしても。
●山川直人『小さな喫茶店』/大学内で卒業まで寄りつかなかった場所とは、確かに印象としては異界に近いのかも。ホラーなガジェットのはずが、この絵柄だととぼけた味わい出ていていい。オノマトペもかわいいし。
●やまじえびね(原作:テオドール・シュトルム)『みずうみ』/こういう手紙のやりとり、マンガだと『坂道のアポロン』連想しちゃうなあ。アニメ版では大胆に変更されていた点だが。(そっちはそっちで好み。)
●conix『青高チア部はかわいくない!』/高校野球「応援」の夏、始まる。試合前の各部間挨拶は大事よね、こういう描写が好き。確かに中継の入らない小規模球場の外野席、芝の上での応援というのは、ファンでもないと見る機会ないか。応援側も本番では試練の連続なのだ、そしてオチは“げん担ぎ”の過酷さという。
●上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/バレンタインデーネタ、安定の壮大なくだらなさ。SFマンガだな、多分。そしてチョキ(チ·ヨ·コ·レ·イ·ト)が残りはしなかった。
●羽生生純(原案:片桐健滋、梅本竜矢)『ルームロンダリング』/羽生生作品なのにコミカライズだから普通にいい話だ(ひどい言い方)。
●いましろたかし『新釣れんボーイ』/終盤で狩撫麻礼の訃報に言及。こっちでは田辺絵と違って黒髪なのよなあ。
●唐沢なをき(小林多喜二『蟹工船』より)『僕らの蟹工船』/最終回。最後までひどかった。まあ設定から妄想するって意味ではオタク界隈は大なり小なり、な。お疲れ様でした。