コミックビーム2017年5月号

おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/オムライス。わざわざ外食、についてはCoCo壱カレーがトッピングメインにやってるようなものか。
●田辺剛『狂気の山脈にて』/前人類キター!
●久野遥子『甘木唯子のツノと愛』/集中新連載(旧名義・久野酸素)。以前の読み切りでも独特な構図のおもしろさが印象的だったが、現在は作者がアニメーターということで、より“映像”に近い構成。細く一様な線で描かれる、読む速度の中にショットとして映る光景と動作の抜粋。異形や青春というモチーフあわせて、気持ちいい読み心地。以前の作品では、描線や絵柄ふくめ、コマ内・コマ間に滞留を作る構成が内面描写に通じていたので、結構ガラッと作風変わったなと。
上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/谷口ジロー追悼。『事件屋稼業』パロディがベースなのは、あの望月三起也追悼回を、徹底模写をやったウエケンなればこそ、“好き”なのはこの時期の絵とスタイルなのだろうな。(そういうオッサン読者もけして少なくなかろう。)「漫画家稼業」として、お得意のパロディ世界を元作品の文法に乗せつつ、終盤ではその後の谷口画風の変遷と、それによる各作品世界も見せるリスペクトぶり。カッコよくもくだらなく、くだらなくもカッコいい、流石だ。いいよねー、最終ページ!
●conix『青高チア部はかわいくない!』/さらなる新入部員。キャラに対応した誘い文句に笑ってしまった、確かになあ。羞恥心克服は序の口で、運動部らしき過酷さの片鱗が。
ジュール・ヴェルヌ、倉薗紀彦『地底旅行』/マストドン登場!(※今号発売は先月12日。)
山川直人『小さな喫茶店』/今回は単行本末尾に入る話か、近作のエピローグらしく。それぞれがまた、別の視点により。こういうのもいいね。
やまじえびね『レッド・シンブル』/愛憎の果て。次回、最終回。
●伊図透『銃座のウルナ』/戦地から離れた今は物語的に休憩パートかな、と正直思っていたのだが。記憶とどう向き合うか、日常に帰りうるのか、対比を織り込みつつしっかりドラマになっている。おもしろい。
羽生生純『恋と問』/双方ひどい、しかしお互い何か感じるものが。前作では作家性・姿勢の対比という脈絡は薄かったからなあ。(クライマックスに出てくるが。)
須藤真澄『どこか遠くの話をしよう』/作者が腰を痛めたことにより減ページ、て話の核心を寸止めか〜。アクションおばあちゃん。
カネコアツシ『デスコ』/本拠地に押し寄せる大量の敵、とこれも終わり近いのかな。
●伏見かな子『女神湯』/読み切り。『大人スキップ』の代原で、産後の女性の肉体描写という。なんか身体感覚とファンタジー描写の通じ方が独特な作家である。
三宅乱丈イムリ』/最終決戦へ(アオリより)。陣営へと向かう一同の現状を描写しつつ、その間に各キャラの回想を挟む形で、直前の会議の内容をも描く。この構成が本当巧い、各々の表情からの場面転換といい、その心理と会話の流れの対比といい、読ませ方として秀逸である。同じイムリという種族でも、それぞれの物語を背負ってきた面々が一同に座して異なる想いをぶつけ合う。作品タイトルはこの場面も象徴しているのではないだろうか。もはや懐かしいぐるみ餅も、チムリのそれへの想い込みでニコとの対比であり、平和の象徴であり。/そして!ここで!次号休載!(うわあ!)
●原百合子『とある神様の星』/読み切り後編。ひみつ道具チック。
いましろたかし『新釣れんボーイ』/あれだけのネタでさえ味噌糞一緒に一つ覚えの手すさび芸にしか供せない界隈がどういう沸き方してるのか、というリアリティ。