コミックビーム2017年3月号

●conix『青高チア部はかわいくない!』/新連載。チアガールの漫画ってエロしか知らない、はさておき女子高校生コメディ。部活コミュニティの代替わりによる方針転換、と硬軟どちらにも針振れそうではある。欲求に忠実な主人公と、囲む仲間達の温度も一様ではないのか。
●伊図透『銃座のウルナ』/扉絵の道具諸々が今では遺品で像で。主人公の追悼とは、それらと共にあった戦果へ授章される、それを離れて帰郷する前の今、ある私物を身に着けることで。主人公の靴にまつわる彼女の思い出も別にいいものではなく、むしろ向けられたのは敵意に近いが、しかしそれに燃える彼女の姿こそが鮮烈だったと。この心理と関係の内圧。女性服だからこそ着用できた、という話でもある。
おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/ビール。間の問題は、親父が人前でだけタバコ吸う人間だったのでわかる。
羽生生純『恋と問』/羽生生作品に勘違いした作り手は色々出てきたものの、この手の(おそらく)口だけタイプは珍しいか。
松田洋子『大人スキップ』/主人公設定ふまえた上だと、この悪意はきつい。くろけーは大人だね。底まで落ちたらあとは上がるだけ、なんて言い方もあるが、ここでは幼児性が故というのがまた。それでも救いなのか。
三宅乱丈イムリ』/言語・文化の違いによる不和である。空のイムリ、地のイコルという光景も一コマながら図としてなぁ。それらもまた能力・武器の生み出したもので、というテーマになるのだが。デュルク、イマク、ニコ、それぞれの転換点において、この危機は。主人公補正など通用しない作品だからな…。
●うすね正俊『砂ぼうず』/決着自体はサクッとつくのがよい。ミュータント設定は小砂にも関わるのかね。
ジュール・ヴェルヌ、倉薗紀彦『地底旅行』/不屈が故に絶望も、新たな興奮も大きく。
カネコアツシ『デスコ』/いかにもコミックらしい設定の新キャラ。作者は完全デジタル作画に移行したそうですが、その辺りの意識も影響してるのかな、などと。
●横山旬『あらいぐマンといっしょ』/ロードムービーの構成要素にドライさは抜きがたくあるわけだが、また強烈な。
三家本礼『血まみれスケバンチェーンソー』/最終回を前にしての盛り上がりが悪ノリレベルの無茶苦茶さで、だがそれがいい!それでこそよの。
●H.P.ラヴクラフト、田辺剛『狂気の山脈にて』/断ち切りゴマは使わずに、枠に囲まれた見開きで(こそ?)この遠景の凄み。
須藤真澄『どこか遠くの話をしよう』/ここまで通じ合いを描いてきての、衝撃の展開。どこか遠く、か。
上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/担当ゼミ学生達との合作作品。オーソドックスな昔話パロディは確かに基本としてよいのかも。
山田参助あれよ星屑』/失っても戻っても。前回は山村で今回は海辺、と土着のイメージとしてわかるキャラ造形なんだよな。6月まで休載とのこと。
山川直人『小さな喫茶店』/前回は人生の記憶が語られた店にて、今回は聞き手にとっての。これを“嘘”と呼んでしまうのは味気ないよな。語る側の想いは、前回と通底した内実。
朝倉世界一『おれは たーさん』/最終回。魂で救うってことか、いや。ラストシーンまでの流れが、今までの道程と未来を感じさせてくれる。お疲れ様でした。


  • 次回のニコ生マンガ実況は、ゲストにみなもと太郎!夜千で1ページ寄稿してたんだよな。
  • コマンタレビーマーは二十年越しに同じ人物ネタ。
  • 編集総長コラムは伊図透について。一時期、女性作家かと思ってた。
  • 次号、おくやまゆかシリーズ新連載。