コミックビーム2017年1月号

※先月号です。


  • 表紙絵は丸尾末広。黒地にピンクと水色のフォント。
  • で、めくると表2広告が劇場版SAO、左にカネコアツシのカラー絵。広告の色味はあえて合わせたのかな。

カネコアツシ『デスコ』/巻頭カラー。カラー4ページの内、1・4ページ目で見開き絵2分割(今この瞬間)、2・3ページ目の見開きにて現在と過去描くコマが交錯し(色合いによる塗り分け)、本編でもそれが続く、と面白い効果。過去編でもあらためて、主人公の強烈さよ。
丸尾末広トミノの地獄』/連載再開。一瞬の平穏、なのでしょうな。
●横山旬『あらいぐマンといっしょ』/新連載。異形化というモチーフは前作と共通ながら、本作では無生物感を前面に出した人形へ。その分、脇が濃い。
森泉岳土『報いは報い、罰は罰』/これまでの作品からすると、ここまで悪意見せる人物たちというのも新鮮ではある。
●市川ラク『わたし今、トルコです。』/新連載。トルコ在住記。8ページ連載で普通にエッセイコミック、とビーム的には珍しい印象。ベタながら、冒頭の奥村総長ひでえ。
●伊図透『銃座のウルナ』/名のある仲間の死と、それに対比して敵への反射的な殺戮くり返す主人公と。
羽生生純『恋と問』/物語に沿う生き方、という意味では『青(オールー)』にもダブるけれど。仰角の眼鏡顔。
おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/トウモロコシの食べ方、富豪村!それはともかく、かぶりつきも理にかなった食べ方ではあるのか。
●H.P.ラヴクラフト・田辺剛『狂気の山脈にて』/雪の中の死体群という絵面もさることながら、痕跡からの想像させる恐怖。
三家本礼『血まみれスケバン・チェーンソー』/割とあっけなかったというか、仲間の存在のもたらす力ではあるけど。
松田洋子『大人スキップ』/酒だよ人生は。
ジュール・ヴェルヌ・倉薗紀彦『地底旅行』/嵐、風景の迫力。いい絵物語感。
いましろたかし『新釣れんボーイ』/K社編集者か…うむ。
三宅乱丈イムリ』/読者はミューバの暗黒面(歩み)も読んできたわけだが、いまだデュルクはその事態にも原点にも気づけない、という悲劇。その断絶を象徴してのサブタイトル「夢見ぬ双児」ね。カーマ社会のシステムについての話も、上級階層の視点から描かれてきたからこそ(読者にも)奴隷化イコルしか見えてなかった、イマク編でようやくイコル区の存在が可視化された、という物語構造になるんだよな。イムリ・脱走イムリ・イコルのすれ違いもまた、情報の差から生まれる悲劇であり。
上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/シリーズ継続に見せかけてのタイトルでブラフかよ、という。今時はそもそも録音再生機器所持してるのか、という点がな。
須藤真澄『どこか遠くの話をしよう』/わからない話を聞く、聞かせられるという間柄のたたずまい。作物小屋との距離感は、田舎の出としてわかる。
●うすね正俊『砂ぼうず』/読み合い、開戦。戦場だな。
山田参助あれよ星屑』/石を飲む、とまた強烈な寂寥感の像。行動的には土竜の唄思い出しちゃうけど。
朝倉世界一『おれは たーさん』/やりきって里帰り、か。この為のウェーイ(?)見開きだと思うと不思議な感傷が。
やまじえびね『レッド・シンブル』/淡々と、しかし暗黒の。
山川直人『小さな喫茶店』/傍らでの群像劇。この作品で男女入れ替わりやるなら転校生の方なんだよ!まだ!コマ枠線を斜めにすることによるアクション性、という機能ぶりがなんだか愉快。
●山本健太郎『天女さま、すんません!』/最終回。天女の羽衣的モチーフでありつつ、この話においては。想われることが希望、と想う相手から言ってもらえたならば、幸いなのである。お疲れ様でした。


  • インタビューは新井英樹。うむ、重い。途中に出てくる「奥様」は入江喜和ですね。
  • 市橋俊介コラムはあれだ、やらなくていいゲーム案件。
  • 奥村編集総長コラムは山本健太郎について。情である。
  • 桜玉吉『日々我人間』(文藝春秋刊)広告掲載。