※先月号です。
- (先月)コミックビーム公式ツイッター開設。一投目からしてもう。
- 表紙絵は新連載、で並ぶタイトルが『地底旅行』と『イムリ』というのは“冒険もの”くくりか。アオリも“Welcome to the outside of this world.”だし。
●H.P.ラヴクラフト・田辺剛『狂気の山脈にて』/新連載。冒頭カラーページでは、影響元といえるエドガー・アラン・ポオ作品より二編を引用。南極の雪景色に(結末としての)死体の山、と導入から濃厚な不穏の描写。シチュエーションとしては『地底旅行』と似ているはずなのだが、こちらは漫符もオノマトペも廃して、絵力の積み重ねで語るすさまじさがね。呉智英が触れていたそうだが、技術というよりも、原典・物語への信仰なんだよな。
●松田洋子『大人スキップ』/歩んでなければ、それの意味する内実も理解はできず。苦労人の賜物としての、くろけーの性分との対比か。/ドラマ版『ママゴト』、いい出来ですよ。(次回最終回)
●三家本礼『血まみれスケバン・チェーンソー』/「よけてーっ!!」はまあギャグなのだが、それでもしぶとい館長に笑う。
●三宅乱丈『イムリ』/ひさびさのカーマ語=縦書きが1行のみ、というのも手間である。今回も、ドネークの孤軍奮闘や緊張感みなぎる会話の描写における、表情や構図の読ませ方がすごい。しかし正直難しかったよ、今回は。水面と回想(他者のそれの記憶、という入れ子でもある)と、読めれば美しい像である、意志を映しての。ちょっと『ペット』ぽくもある。/「漫勉」よかった。おもしろいマンガを描く人はカッコいい。
●桜玉吉『雨があがったので』/読み切り。コンビニ店員の、低賃金で多種業務要求される過酷さはね…。
●おおひなたごう『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/取り皿の最後の一個。津軽衆なら一つは残せ(成田美名子『NATURAL』)、なんてのもありますが。イート&バッシングはよいね。コミュニケーションとしての食が前提、文法はギャグ漫画、とやはり『孤独のグルメ』とは対極である。
●須藤真澄『どこか遠くの話をしよう』/いやもうすごいわ、うまいわ。長編連載になったことで、尺使ってがっちり見せる・読ませることに技巧注がれているわけだが、それにしても一つ一つの描写に構成に魅了されっぱなしである。おもしれえ。
●羽生生純『恋と問』/俗もまた運命かな。石の方の原点は不変なのね…。
●伊図透『銃座のウルナ』、やまじえびね『レッド・シンブル』、山田参助『あれよ星屑』/載る作風が色々なら、セックス描写とその周縁も色々。
●朝倉世界一『おれは たーさん』/男の世界、なのだろうか。夕闇の見開きがイカす。
●新井英樹『SCATTER-あなたがここにいてほしい-』/精子円盤!殺戮劇からの、こちらも米軍登場。終幕近そう。
●山本健太郎『天女さま、すんません!』/なんか昨日見たプリパラとイメージかぶってしまって、もっと早く感想書くべきだったよ。彼岸からこっち側に出てくる、望まない形にとらえられる、という展開は、以前の作品群と通底しつつも新鮮かな。
●須田剛一・竹谷州史『暗闇ダンス』/悲劇のヒロイン…にはしませんでしたか。旅路の総括でもあり。『シルバー事件』で須田作品にほれ込んだ私は、まだこうしてその影を追っているわけですよ。
●山川直人『小さな喫茶店』/奇想か、メルヘンか、いやさこれも日常であった。ハッピーエンドに戸惑ってしまった自分が嫌だ。