ハルタ 2016-FEBRUARY volume 31

  • 表紙、カバー・ストーリーは空木哲生。森ガール(?)。やっぱりこう、ディティール描写に話の内実が生まれる作家性だね。

樫木祐人ハクメイとミコチ』/雨の中の釣り。サイズ的に、水辺は危険だろうとか釣り餌も出しにくいよなとか。花が釣れるというのはいいね、この状況下。
山本ルンルン『サーカスの娘オルガ』/そうか、旅芸人、ベドウィン(エイリアン通り)の世界の物語か。その中での主人公、小動物、先住者という巡り合わせ。やっぱり構成力が読ませるんですけど、今回はターニャの心情と服装の変化が肝である。普段着、仕事着、正装、タバコ(かっけえ!)、また仕事着、普段着と。次回掲載は初夏予定とのこと。
西公平『ゲス、騎乗前』/割れ鍋にとじ蓋というか、ゲス同士は引かれ合うというか。
森薫乙嫁語り』/パリヤさん、完全にコメディパートだな。ムッツリ乙女脳。カルルクの方は修行編?
●宇島葉『世界八番目の不思議』/ああっ女神さまっ。異類婚というより押しかけヒロイン、しかも純粋ラッキー。次回は4月掲載。
九井諒子ダンジョン飯』/扉絵はチルチャックの修行。今回の登場モンスターは大ガエルという、ここに来ての巨大生物属性。読者の現実の異化というビジュアルもってして直接攻撃というシンプルさ、さらにそれから食われかけるって生理的にきついよ、今までの主人公側の所業でもあるけれど。報酬は食のみならず衣も、冒険行に必要なアイテムとして。活用ふくめモンスターの“生態”に描写さかれた回といえよう、「大ガエル」という存在でよりビビッドに、舞台状況としてのフィールドふくめ。バトルの緊張感、コメディのテンポの巧さもさることながら、メシ食いながら風景に埋もれていくコマのラフタッチがもうね。これもう高野文子の描く異層だよね。
福島聡『ローカルワンダーランド』/物語を探り、物語の生まれる物語。光景の提示についても描き分けされるあたりが手練れぶり。女の子の浮かべるオノマトペがかわいい、むいー、ほよほよ。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/冒頭から、同一コマ内で線で区切られ電話で会話中のA子とK子の顔、次のコマ内では区切られもせず電話している二人、次の段では一人コマ中の室内でたたずむA子、と頭ならして顔と一人言強めの回。A子内ではシリアスな煩悶。記憶と考察に一人相撲の顔芸しつつ、脳内悪友の責め言葉に一人叫ぶ、やはり“会話”の描写ではある。見知らぬ店員との対話はひたすら当たり障りなしで。対するA太郎サイドは、入れ替わり立ち替わり会話する様子をコマに収める巧さ。結局やっぱり男二人に翻弄されるA子、なのだがシリアス顔映えるようにはなってきてるよね、三人共に。左ページ1コマ目右上ネームのコマからのはみ出しぶりは、状況転換の効能を上手さもって見せつけられる。
●原鮎美『織子とナッツン』/四コマ連載時に始まったラブコメをストーリー漫画連載でシリアス風にしめる。ずるい(ほめてる)。
八十八良『不死の猟犬』/まだ治ってない、というベクターの言い方からすると、舞台は遠未来か何か?うわ〜、憎たらしいデブ!
●中西芙海『シューティング・ガール』/読み切り。ショタ・ミーツ・魔法ロリ。寸止めメルヘン世界かわいい。
●長蔵ヒロコ『ルドルフ・ターキー』/ババア含む武装メイド集団てえとハチワンダイバーの鬼将会連想しちゃう。
●犬童千恵『碧いホルスの瞳』/真・異種格闘大戦読者ならば、人間殺害数ナンバー1の動物、カバの恐ろしさは知っている。兄貴やるじゃん。
なかま亜咲健全ロボ ダイミダラー』/最低な見開きだ。しかも即死!
●畑田知里『ロングラブソング』/読み切り6ページ。うえけん風味。
●高江洲弥『首花は咲きゆく』/最終回。こっちこそが異類愛の物語だよなあ。花は咲き願いは成就し、主人公に一瞬闇はのぞくけれども、それも失われた者への想いに還り。愛よ。作者も最期の姿を見せないことの残酷さはよく理解していて、それを超越して現れる“美”なのよ、最後の花は。墓碑に添い寝する少年という耽美は。いいメルヘンでした。おもしろかった。お疲れ様でした。


  • 次号より入江亜季新連載。ミステリーだと!?