月刊コミックビーム2016年3月号

  • 表紙は桜玉吉。黒玉吉で電書ネタ。
  • 表2広告は、日テレで放送中のドラマの原作であるKADOKAWA小説。まあそういう放送枠だよね、あれも。

●おくやまゆか『しりこだまラプソディ』/巻頭カラー読み切り。カラー掲載は初か。デビュー作も宇宙人の話でしたが、初単行本の受賞後第一作と考えるとよりユーモラスにこなれた感。絵本作家でもある作者らしいエンドマーク、というか馬場のぼる長新太のマンガ作品の系譜といえるかも。
桜玉吉『伊豆とちり』/読み切り。夢の話。生活が遮断されてればそれはなあ。
●伊図透『銃座のウルナ』/思想コントロールにより戦わされている、のか?現状と主人公の背景を、単行本一冊分描いた上でのこの展開というのが大きい。回想場面と意識を表現する像もユニーク。
いましろたかし『新・釣れんボーイ』/やってる構造自体は前作と近いな。マンガの話は、まあ福本伸行いましろたかしの絵だからねぇ。
おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/ひょっとしてこのエピソード、アニメ化決まって歌唱出演したりネタ作りに奮闘したりの作者の自己言及だったりする?
●H.P.ラヴクラフト・田辺剛『闇に這う者』/新連載。場の重苦しさの描写力よ。
ジュール・ヴェルヌ・倉薗紀彦『地底旅行』/こちらもまた盛り上がりの見所が映えますな。
須田剛一竹谷州史『暗闇ダンス』/銃を構えて眼帯ヒロイン参上。この人を食ったような須田節のやりとりよ、て結ばれるんかい!緊張・均衡状態の中、暴れまくるオノマトペが絵として見せ方としてカッコいい。LINEでキラー7スタンプ。観覧車も登場(夢で)。
三宅乱丈イムリ』/大反乱成る。殺されていく描写もイムリ側のそれとは微妙に異なるんだよね、表現として。そして主人公の側も恐るべき展開に。いやー、すごい!
上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/ひましろ先生の話と同じ号でこんな実験的作品。定型の中流れていく光景で文脈を読ませる、ちょっとRYTHEMシリーズっぽい。(「空車」タイミング早えーよ!)最後の帽子男は、意志表明でもありますな。
山田参助あれよ星屑』/フリーセックス!フリーセックス!(がんばれ酢めし疑獄!!)引きやらぬ熱というか、直後のびろうさ含め生命力すな、滝田ゆう的吹き出し添えて。次なるトラブルたる男女も造形の組み合わせすげえ。
須藤真澄『庭先塩梅』/死のモチーフはよく出てきた作品ですが、生まれ直し描かれるのは珍しいか。関わり合い、絆だね。そして、次回最終回。/『どんぐりくん』新装版かー。
朝倉世界一『おれは たーさん』/わ、びっくりした、迫力あるわ。絵柄ではなく見せ方如何ですのう。しかしゾンビ植毛…。
●うすね正俊『砂ぼうず』/漫☆画太郎の臭い立つような絵柄にも近い、「おえ゛え゛〜」もあるし。扇動対本能。
●横山旬『変身!』/なるほど、この設定からの世界変革か。次回最終回。
山川直人『小さな喫茶店』/夢と現と、関わりと。ペンタッチと枠線の逆転ぶり。
折口信夫近藤ようこ死者の書』/物語の物語。次回最終回。
松田洋子『私を連れて逃げて、お願い。』/最終回。夢というモチーフの多い今月の誌面ですが、こちらはハッピーエンド。この顔つきになれる、という「現実」へ。お疲れ様でした。


  • 最終回ラッシュだなあ、新連載どうなるのか。
  • 編集長コラムにて、電子版発売告知。値段は若干低め、発売は2週間遅れ。昨年はクリアファイル付録ガンガン付けてましたけど、今後はなくなるかな。
  • 巻末コメントによると、春から上野顕太郎が大学教員デビューだそうで。そりゃあ面白そうだ!

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