ハルタ 2015-DECEMBER volume 30

  • 表紙、カバー・ストーリーは松本結樹で「U12 こどもフェローズ」プレゼント告知。ヒロイン全員U15、を創刊時にはうたっていたマンガ誌がかつてありましてね。
  • 裏表紙ハルタカルタは「もちはもちや」。各種造形、これがパロディの楽しさ。

山本ルンルン『サーカスの娘オルガ』/シリーズ新連載。売られてきた、ここで生きていく少女。マンガ表現における目の重要さ、とはよく言われる内容であるが、この作品におけるそれの見せ方もいい。眺め、圧倒され、憮然呆然、疲弊悲嘆、驚嘆、ときめき、決意、発見、それらすべて目に映る新しい光景に対する感情表現であり、これが出会い、主人公にとっての一歩目、物語の始まり。要所で人物傾けて描く構成の巧さも話の流れあってこそで、物語としてあるそのマンガのたたずまいが好きですね、私は。
九井諒子ダンジョン飯』/ウンディーネ 極小精霊 集合体 魔力ないなら それを直飲み。血が足りないなら肉というよりは直接的かつ説得力あるかもだが、いやしかし。鍋は戦国BASARA彼岸島でも武器にしているから大丈夫、て焼き殺すのかよ!RPG世界では一宿一飯の恩とはいかないが、握手で再会誓ってお別れ。
佐野菜見坂本ですが?』/最終回。暴力そのものはスタイリッシュにあしらうが常でも、それをふるう友人の吐露には一すじの汗をもって恥さらしても応えるというね。最大の相手へも仲間の協力あってこそ立ち向かえるというね。熱血マンガかよ、コメディの中でやるからこそ映えるそのノリは好きだよ。締めも馬鹿の美しさに泣けるし、だからこそこの学園マンガフォーマットから出ることが終わりなわけで。お疲れ様でした。
大武政夫ヒナまつり』/まあ内実としてはメイド喫茶もイメクラも変わらんのかもしれんが。(ひでえ)
佐々大河『ふしぎの国のバード』/風土病ふくめて“民俗”なわけでなあ。
●和田隆志『僕のように従順な弟』/読み切り。家族がサイコパス、こわいこわい。近しい関係下にて、描かれる時間もロングレンジだし、いやな想像をかき立てる余地あるし、これまでの短編よりさらに闇がしみてくる。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/あいこがピンの扉絵、をめくると始まる視界中の(現実に存在する)風景描写、へと枠線に足かけて入ってくる主体の後ろ姿、から冒頭のナレーションとシームレスにつながるモノローグ回想コマ、という導入、いつものギャグ顔あいこ。今回の会話場面は異なる三ヵ所にて。階段で違う高さにいる三人は、情報のやりとりのアングルによる見せ方や「あ」三連発等の工夫して。喫茶店で座っている三人は、ぎすぎすした会話をおいしそうな実在メニューやフォントや黒ベタや吹き出しに画面侵食されつつコミカルに。場所移動した店頭での対話は、ちょこちょこした移動を構図でも見映えさせつつモブやモノローグ中の観客という反応交えて。そして最後は浄化の花見、と見せ場たる会話、俗たる内面がないとこの美しさ、という構造であってな。それもまた“リアル”に、回想として語られることでなるわけで。彼氏との会話で背景に花、で幕引きという。
森薫乙嫁語り』/アミルさんは内面的にギャグいけるんだよね。想いを伝える努力の証、彼女ならではの得意技。ショックに苦悶に呆けと、背景カケアミが映えるねパリヤさん。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/コンジュとライカ。仲良くしたいファンであり隣人であり、で胃袋をつかもうというのがこの作品らしさかな。食卓で酒を酌み交わす二人、というのはいつもの光景だが、彼女にしみ入るのは憧れの歌の方。あと、「えーっ!?」に漫☆画太郎の「俺の弁当食ったの誰だー!!」ダブらせてしまった、すまん。
●犬童千恵『碧いホルスの瞳』/ライバルキャラ登場といいますか。
八十八良『不死の猟犬』/そのままかよ!
●加藤清志『THE TOWN』/いろいろ狂ってますが、その上での突っ走りっぷりがいい。
●梶谷志乃『想幻の都』/ムム、全裸!というショートコメディ回。昔載ってた読み切り群はこういう馬鹿馬鹿しさ路線だったよなあ。説得されるリアリスト(?)はビオロイドならでは、と肉体の認識につながってるわけだな、考え過ぎかな。
●高江洲弥『首花は咲きゆく』/入る鉢、と棺でもあり。「3人」か。発端の設定も綺麗に畳んで完結が近づく。
福島聡『ローカルワンダーランド』/おっぱいを見せられる世界。これなんてエロゲ…あ、お触りなしだ、エロゲじゃない!まあな、背徳でも特権でもなく習慣としてあるなら哀しいわな、で越境の傍観者にとってはさらなる些事と。女だし。
●窪中彩乃『華麗なる虚偽』/あー、入れ替わった上でそっちの地位失っちゃうか。偶像ではなく人間だもの。
丸山薫『事件記者トトコ!』/温泉回。サービスショットは扉絵、脇からのぞく下乳、うむ。風呂嫌いってキャラはわかるが萌えとは遠いよね、メガネ。ライバル記者の方はそんな無茶設定が。
なかま亜咲健全ロボ ダイミダラー』/前作からのパラレル設定での秘密兵器、と燃える展開かと思ったら一蹴かよ!シビア〜。