コミックビーム2016年1月号

  • 背表紙のナンバリングフォントにおしゃれ感ありますが、新連載合わせかな。



朝倉世界一『おれは たーさん』/新連載。ターザン、ターちゃんに続く第三のターザン(意味不明)。冒頭、途中の回想と、この絵柄でのアクションシーンがよい雰囲気。今作は異人大勢世界観。ふっくら順応しつつも残っている野生。
おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/レンゲでミニラーメン、いやないわ(即答)。味の組み合わせ保つのは、これまでもやってきたことではあるが。
丸尾末広トミノの地獄』/シャブはおそろしいのう(阿片だよ)。トランス状態にオノマトペ文というのは『死者の書』とも共通…ではないか。
山田参助あれよ星屑』/「知らざァ言ってきかせやしょう」。エロとたくましさが共にある世界も、まずその身一つで立つ人物たちが前提にあってこそ。不謹慎が売れるというのは今もそう変わらないかな。まさかの芝居小屋編か。
三宅乱丈イムリ』/支配の恐ろしさだよな。こちら側が伝説のイムリという可能性もあるか。託す意志を受けての彩輪強化は象徴的場面。
三家本礼『血まみれスケバン・チェーンソー』/わー、かわいいまほうしょうじょだー。ケモノ娘もそろってパンチラ、そしてチェーンソー復活ッッ!
●うすね正俊『砂ぼうず』/危機的状況あってこそ有能ぶりが引き立つ、そういう存在なんだよな。
折口信夫近藤ようこ死者の書』/このもやが記号的で、それで表現としては共存している、同時に存在としては分断されている、という絵。
●仲能健児『ヌーガ』/読み切り。闇とエロス。これも風景で語る作風ではある。単行本二冊刊行、まずはめでたい。
須田剛一竹谷州史『暗闇ダンス』/正装上役とパンイチ男。前回はモブ風外見で内面の混沌でしたが、キャラクター強いなやっぱり。ロードムービーという物語の体裁自体が、生き様を描くものではあるか。「シルバー事件」的な多重ウィンドウ画面構成に拍車かかってる、おもしろい。
●伊図透『銃座のウルナ』/主人公の背景語り。戦地と故郷というモチーフは定番だが、やはりよい。
上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/生頼範義追悼。うむ、ひさびさにわからん、しかし何かやっているのはわかる(いしかわじゅん風物言い)、それが表現でおもしろさで「パロディ」です。肖像画は読者への信頼だよなあ。
須藤真澄『庭先塩梅』/好きなものが出てくるレストラン。ファンタジーというかメルヘンというか夢というか、本当癒しの瞬間ですな、忘却の上での。でもそれが正道なのよ、美しさなのよ。しゃべる猫という存在も作風考えるとね。
松田洋子『私を連れて逃げて、お願い。』/比喩ではない崖っぷちでの求婚という図がもうね、切ない。姫と王子と「神」と。
イシデ電『逆流主婦ワイフ』/流れ流されてきて、ここでサブタイトル「逆流」か。「主婦」というカテゴリですらない、そう認識して関われないという話でもあり。
●横山旬『変身!』/意外な所から状況一変。この祖先設定は以前の読み切り作品とつながってるのかな。
山川直人『小さな喫茶店』/悩ましい身にはとことん悩ましいのよね、地元とは。今回のウルナと比べるとなんだが。コンビニのコーヒーというのも、この作品内では画期的な地平かもしれん。
羽生生純『ジュウマン』/最終回。タイトルの意味、続く戦い、終わらぬ正義。これまでの作品の総決算、かつデジタル作画移行後の最高傑作という位置づけでいいんじゃないでしょうか。個人的にはめちゃくちゃ楽しみながら毎回読んでました。おもしろかったです。お疲れ様でした。