コミックビーム2015年9月号

須田剛一竹谷州史『暗闇ダンス』/新連載。平穏と停滞からの疾走、一転する世界。いかにも須田テイストで、らしいモチーフもばんばん登場。竹谷州史の絵柄と構成がアメコミ、バンドデシネ寄りになっていて驚いたが、須田原作という時点で海外出版も視野入ってるだろうしありだな、なによりカッコいい。/あとアンケート葉書に、奥村編集総長担当作品だと記されていて正直意外。うっかりオシャレ系と目されそうな一面もあるしなぁ。打ち合わせとかどんな感じなんでしょう。須田氏の前職は主人公同様葬儀屋で、顔も少し似てるんだけれども、その辺も編集とのやりとりで引き出されたんじゃねえかな、などと。
おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/牛丼の紅ショウガ。私は入れない派ですね、カレーの福神漬けといい。くせになる味、というのは薬味としてあるかもしれない。
折口信夫近藤ようこ死者の書』/暗喩としての夢になるのか。前回の『レッド・シンブル』と微妙なかぶり方してるけど。
三宅乱丈イムリ』/メカ対自然の構図が大きく出てきた。動物変化は一形態ではないのね。新能力の植物もだけれど、操作というより自衛としての本能が大きいのかな。
カネコアツシ『デスコ』/永田町テロ計画。というか舞台は日本だったのか。
●うすね正俊『砂ぼうず』/暴走する内なる力を制御、というお約束パターンではあるが「小出しヒューロン」という物言いが絶妙。
松田洋子『私を連れて逃げて、お願い。』/女は強し。この警官は上には報告してないよなあ。新たな火種になっちゃうのか。
●サキ・二ノ宮亜子『クローヴィスのクロニクル』/第1部最終回。荒療治ってレベルじゃねーぞ。時代小説としての醍醐味ですわな。
須藤真澄『庭先塩梅』/個人的に夏場の回は、レギュラーキャラ以外の出会い話が印象的だが。何も変わらなかった、というのが味わい深いんだよな今回は。
唐沢なをき『まんが家総進撃』/実際、冠婚葬祭とのかち合いでは編集者の方も苦労してるのではないか。谷川史子の担当編集者が、自分の結婚式当日に控え室から電話して打ち合わせしてた、とか。
山田参助あれよ星屑』/元々生と死を描く物語ではあるのだが、縛られた上でのそれ、という描き方はやるせない。
森泉岳土『ハルはめぐりて 台湾篇』/シリーズ読み切り。風景のみならず幻想的な描写も。この描法だとオノマトペの入れ方も試行錯誤だなあ。
三家本礼『血まみれスケバン・チェーンソー』/これも復讐戦なわけか。しかし考えたら改造死体になるデメリットも大してなさそうだよな、この作品。
●横山旬『変身!』/新設定登場ターン。そういえば他の変身能力者(動物?)や父親についても知ってるのはヒロインだけか。主人公の方は徹底してバカ男子モノローグの地平であって。
イシデ電『逆流主婦ワイフ』/シリーズとして続いているこの一家の話も、飛び道具的なキャラ見せの連続ではある。背景の物語として、新たなキャラが生まれていく感じなんだろうか。
●伊図透『靴ひもを結べ!・冬』/読み切り。即物的感情とは生気なのよね。
●高木ちえこ『とりあえず、畑で暮らしてみる。』/日本人の大根好き、というと美味しんぼが浮かぶ。男根信仰の方は、うむ。
羽生生純『ジュウマン』/ミギー!どころじゃねえなもう。善悪の彼岸たるコメディつうかもう。
山川直人『小さな喫茶店』/こういう作風もまた持ち味なんだよな。闇とはまた異なる、静謐としてのメルヘンというか。