ハルタ 2015-APRIL volume 23

  • 裏表紙ハルタカルタ「くるしいときのかみだのみ」のディティール&遊びぶりがいい。

九井諒子ダンジョン飯』/探索者チルチャックVS擬態モンスター・ミミック。“ダンジョン”らしく合わせ技で、密室からの脱出という謎解きも。状況描写とともに、視界・視線・見る動作を読ませる構成が主旨にかなってて見事。恐怖も緊迫もあるよ!ミミックはヤドカリ型か。情報の小出しで物語り、設定でオチつけてみせる、やはり上手い。
西公平『ゲス、騎乗前』/新連載。競馬コメディ。作者コメントによればどうやら競馬は好きらしいのだが、うーん。ギャグに言ってもしかたないが、個人的には『ヒナまつり』の競馬回も微妙だったしなぁ。
福島聡『ローカルワンダーランド』/殺し屋のノワール。構成の巧さで描かれる“流される”様と、そのラストに待つモノローグ。女の言葉に従い、ふっ切れた状況に身をさらし、実は続けていた決断を、放棄することを決断し。クールからホットへおはなしの回帰、とも読ませかねない内容に、キャラクターのこれだけドライな内実伴わせ。
入江亜季乱と灰色の世界』/最終回。主人公の成長を、あこがれの獲得を、大人になることを描くマンガだった。見開き2ページのみ、唐突なラブシーンの初々しいながらの鮮烈さも、その文脈に合致も背きもしてるからこそ。楽しい作品でした。長い間お疲れさまでした!
森薫乙嫁語り』/戦の始末。文化的な、歴史的な苦境についてはこういう語りで入れてくるか。
●菊池まりこ『カプチーノ』/いい人だけど報われない、仕方がない、でも読者的には哀しい。悪友サイドは表情いきいきしてるな。
●高田築『どつかれて茶室』/読み切り。『お茶にごす。』の対極というか、まあつまり変態だー!!エロティクスFにも読み切り載ったのは正しかったのね。密室劇で二人芝居でこの勢いとテンポのよさ。おもしろかった。
●加藤清志『THE TOWN』/バトル漫画になるのか。『ヘルシング』っぽい。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/湖底にとどまってた潜水艦が機嫌よくして動き出す、と海底鬼岩城のバギーちゃんみたな。心を盛り上げ、思いを共有する、歌。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/女三人トーク、ひさしぶりな気もする。密室劇ということで顔のアップによる感情表現多め、それがラスト2ページの“見つめ合い”にも効いてる。これまでの服装図解出せるメタ視線と、A子の黒髪黒セーターの重なりや生チョコの旗描けるセンスは同じものなんだろうな。今回はあいこを呼ぶも追い返して一人神経衰弱、とこの落ち込みは哀しい。
●高江洲弥『首花は咲きゆく』/前回の出来事は大きかったんですね。もとより主人公は人との接し方を知らなかった、と。親睦の喜び。
久慈光久狼の口〜ヴォルフスムント〜』/投石機は『ヘウレーカ』にも出てきたけれどキツい、『へうげもの』のは笑えたけど。なんか擬音の書き方にドカベン連想してしまった。
宮田紘次『犬神姫にくちづけ』/犬神との別れ。ようやくくっついて、次回最終回。
●夏本満『田辺さん』/読み切り。男女の関係。かわいいオトナの女、と。
●嵐田佐和子『鋼鉄騎士シュヴァリオン』/仲間を捜索する戦隊チームの姿。人間であっても、彼らは主人公でありヒーロー。ようやく人間の姿を取り戻し、次回最終回。
室井大資『秋津』/最終回。母ちゃん帰ってくるのか。とはいえ、それで変わることもない本人と周囲の人々の群像。男性陣の秋津に対する一様な遠い目からは、それでもちょっとだけ優しさがのぞいている気がする。秋津が一人増える、という結末と微かな笑み。お疲れさまでした。


  • 次号より、高田築新連載。