アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」7話(前半)

  • 第7話「I wonder where I find the light I shine...」

●ガシャン、という割れる音、ガラスの破片からの導入。前回エンディングに映ったひびの入ったガラスの靴、その続き。
●重なる未央の声。前回ラストシーンの一連のセリフだが、実際のそれとは異なり低く冷たい声。回想ではなくイメージ、叫びではなく宣告口調。
●映像は、向かい合うプロデューサーと未央の足元、その間のガラスのかけら。横からのアングルになり、立ちすくむプロデューサーの前から走り去る未央、とそこに重なるドレス姿のシルエット複数。ブラックアウト。シンデレラのガラスの靴≒魔法あるいは夢=アイドル、それが終わる、という表現。ここであらためて1話オープニング見直すと、なかなかグッときます。
●事務所内、並んで座る不安げな顔の卯月と凛。入室してくるプロデューサー。このやたら画面の暗い不安感が、1話のプロデューサー登場場面、ゼロ地点を彷彿とさせるんですが。
●卯月と凛が、未央の来てない現状に言及し住所を尋ねても、煮え切らない反応しか見せないプロデューサー。不安と困惑が丸出しの顔、今までの無表情からこの落差。今回はプロデューサーの脆さが描かれる回でもあります。
●時計は15時35分。1話ラストに文字盤が“35分”になる映像が挟まれますが、現状はそこなのだと取れます。
●黒いバックに白字で作品タイトル、とここはアニマス24話風。
●ダンスレッスン中の卯月(の足元)、凛(の肩から腰)。一方レッスンルームの隅には、かな子・智絵里・みりあ・莉嘉・李衣菜・みくが座っている。未央がアイドルを止めてしまうのでは、という話の流れにみくが立ち上がり「みく達より先にデビューしたのに――」と声を荒げた所で音、転倒した凛の姿。見つめるみく達。不安をかき立てるミニマル曲が流れ始める。
スマホ画面に映る卯月・凛・プロデューサーからのメッセージ(メールタイトル?)、ベッドに寝転び見つめている未央。鳴り出すスマホ、から未央へ発信中の別のスマホ画面。マンション入り口、数字盤前のプロデューサーの背中。
スマホを投げ出す未央。間があり、部屋のふすまを開けて「姉ちゃん、プロデューサーって人が〜」と呼ぶ少年。拒否する未央だが、自分で言ってよ、と返す弟。これは彼なりの気遣いだと思う。
●入り口前、インターホン越しの未央とプロデューサーの会話。会いたくない、と拒絶する未央に、プロデューサーは前のめりになり、焦った顔と声で「これは、あなた一人の問題では――」と口にするが「そんなのわかってるよ!」と叫ばれ体勢を戻す、また立ちつくす。わかってはいるんだよ、自覚して自責してるんだよ未央は、ステージを走り去った時から。その時も今も、プロデューサーは指摘をするだけで導くことができない。
●ガラスの破片を踏む卯月、凛と共に346プロ門を出たところ。そこへ通りがかるプロデューサー。未央の現状を尋ねられても顔を背けたまま答えず、あいかわらず住所を教えるのも拒否。拒絶、という態度見せるのも初めてです。
●「本田さんが今は会いたくないと言うなら、その意思をくみたいと思います」。プロデューサーの言葉に、前回ラスト同様にらみつけて「それでいいの?」と問う凛。「用事があるので。」と告げ立ち去るプロデューサー。最後まで見ると、この凛の苛立ちは、自分をアイドルに誘った時同様にプロデューサーが未央を導かないこと、に向けられていたものだろうと推測できます。
●「このまま、あの人に任せておいていいのかな?」とつぶやく凛。遅れて歩いて来る卯月はぼんやり、凛に呼ばれてあわてる。「色々あって、疲れちゃったのかな」。
●雨。道路の水たまりの中にガラスの欠片。前の場面で、卯月“も”ガラスを踏み割ったわけです。
●事務所、一人でいる凛。冒頭で卯月のいた位置に目をやる。各部屋のドアを開けても無人、レッスンルームはルーキートレーナーが掃除中。電話をかけるも相手は出ない。前回のステージ終了時同様、いったん目を閉じ、すっと顔を上げる凛。表情は画面外にはみ出す。
●パソコンのキーボード上で止まったプロデューサーの両手、脇にラブライカとニュージェネレーションズの写真。ぼーっとした顔に、はっ、と表情が宿り、悲しい顔で写真に手を伸ばす。この一瞬のぞく悲しげな顔が、すごく“青年”のそれです、若者の顔です。写真の束の一番上はラブライカ。
●ガチャ、という扉の音に顔を向けるプロデューサー、入室してくる凛。卯月の病欠を確認する会話、というか凛に報告しないのはよくないよプロデューサー。未央に連絡がつかない現状を問い正され、あせり顔、しらばっくれ顔のプロデューサー、ああ。
●「納得のいく答えを聞かせて!」「なんで未央を連れ戻しに行かないの!?」と詰め寄る凛に、たじろいで伏し目がちになり、ついには目をそらして「まだ、本調子ではないようなので…」と言葉を濁すプロデューサー。無表情、言葉少なながらも、今まではアイドルに向き合ってきた、見守っていたのに。
●怒りの表情だった凛が息を飲む、呆然とした顔つきから悔しげに歯をくいしばる。「逃げないでよ。」びくっと肩をすくめ、不安げに凛を見上げるプロデューサー。6話ラストでも凛がのぞかせたこの苛立ちですが、立ちつくすプロデューサーの目には入ってなかったのでしょう。
●「あんた言ったよね。ここに来れば今までと違う世界があるって。」「見つかるような気がした、夢中になれる何かってやつ。でも今は、見つかる気がしない。」「あんたは、何を考えてるの?」凛の述懐と問いかけ。向き合い、見つめてくる彼女に顔も向けず、「申し訳ありません。」とだけつぶやくプロデューサー。悲嘆にくれた顔で見つめる凛、目をそらしたままのプロデューサー。
●「信じてもいいと思ったのに。」凛の声にハッと顔を上げるプロデューサー。冒頭の、シンデレラが駆け去るイメージ映像。誰もいない部屋、机の前に立ちつくすプロデューサー。
●廊下ですれ違う、凛とかな子&智絵里。かけられる声も無視して歩き去る凛。4時20分、着替え室で凛が帰った話題、ニュージェネレーションズを不安視する一同。歯をくいしばるみくがよい、そしてきらりのジャージ姿だ!
●廊下、ステージに誘ったことを後悔してしまう美嘉。プロデューサーの動向を尋ねるも、「なんにも…」とみりあ、「あの人、何考えてるかわかんないんだもん」と莉嘉。ただこういう聞き方をするということは、美嘉はプロデューサーの頼れる一面も知ってるんですよね、おそらく。部長に何やら報告中のちひろの姿。
●帰宅する凛、自室。時計は6時5分。1話ラスト同様、ベッドに横たわる凛。そのまま机上に重ねられたニュージェネ・ラブライカ双方のCDに首を向け、瞳をゆらす。胸元にあてていた右手がゆっくり離れる。1話ラストでは、決意とともに胸元で握りしめられたその手が。
●誰もいない事務所のショット、プロデューサーの部屋。次回イベントについて説明するちひろ、座ったまま目元の見えないプロデューサー、無表情に聞いているラブライカの二人。「もしわからないことがあれば、質問してください」とプロデューサーの無機質な声。はい、と返事するも何も尋ねず立ち去ろうとする二人を、「あの」と呼び止めるプロデューサー。
●目を伏せて「先日のステージ、どう感じられましたか」と聞くプロデューサー、それをじっと見つめるちひろ。「歌い終わった時、拍手、もらいました。」「ここが私達の第一歩なんだと思ったら、うれしくて。」アナスタシアと美波の言葉に合わせて映る、上方ニュージェネレーションズ・下方ラブライカのポスター。舞台前にプロデューサーの告げた「一歩目」を無事はたしたわけです。
●美波とアナスタシアの顔に戻り「でも、今はこんな状況で…。」「どうして、いいのか、わかりません。」見つめるちひろ、両手を組むプロデューサーの目元は画面外。自分たちだけ成功してもプロジェクト全体で一つ、なんだよな。
●島村家、卯月の部屋。壁のコルクボードに貼られた写真、1話冒頭ライブのアイドル、2話のシンデレラプロジェクトメンバー集合写真、3話のCDデビュー祝いケーキ、1話のアイドルデビュー祝いに買ったアネモネ、1話で映ったやめていった仲間たちとの写真、ともう一枚なにか。この並びはいいな。
●映る机の上には風邪薬、346プロ案内の袋、地理A・Bの教科書。あえて深読みすると、夢だけが乗せてある凛の机と、初心と生活まで含む卯月の机の対比?「熱下がってよかったわ。今日はゆっくりしてなさいね」と部屋を出ていく卯月母。
●布団の中でスマホを見つめる卯月。「凛ちゃん、心配かけちゃったかな。」指で画面をスライドさせ、首をすくめ、布団で口元が見えなくなる。一部隠れた表情で、「未央ちゃん、今日は来ますよね、きっと。」微妙なニュアンスの差がうかがえる。
●ノック音。「なーに、ママ?」と返事する卯月に「具合いは、いかがですか」と野太い声、プロデューサー。間をおき大あせりの卯月。「どうぞ、お大事に」とお見舞い(ケーキらしい箱)をドアの前に置いて去ろうとするプロデューサー、それはちょっと。ドアを開け「下で待っていてください」と言う卯月に、脂汗&恒例の無表情で目をぱちくりのプロデューサー。
●というわけで、少し明るいムードとなってCMへ。DVD2・3巻発売CMも祝祭ムードですなあ。