『ライプニッツ』『タイニーマイティボーイ』、『万華鏡』

年末に出た3冊。

大石まさるの新刊2冊。どちらも見映え違えどSFセンスの息づきぶり、その楽しさ。
『タイニーマイティボーイ』は異種ヒロインとっかえひっかえショート集。て、言い方悪いなオイ。なんて言うんだこういう話運び、ハーレムものならぬ『マップス』とか『うしおととら』的なヒロインめぐり会い系は。閑話休題
主人公がいろんなヒロインと出会い、毎回その設定下によるToLoveる、もといトラブルに巻き込まれるという、物語としてはひみつ道具的位置付け、『ドラえもん』構造に近いのか。どの女の子&女性もかわいくユーモラスに描かれつつ、わりとドライでブラックな挿話も挟み込まれます。アイディアを属性とエピソードに生かす、百花繚乱ヒロインぶりがよござんす。
ライプニッツ』は宇宙モノ。同じ作者の『水惑星年代記』シリーズと同系統といえます。主人公女性は相変わらずパワフルかつ性欲旺盛だぜ!(やめれ。)探検、未知との遭遇はロマンですなあ、やっぱり。そこにまつわる人間ドラマと、センス・オブ・ワンダーな仕掛けも発想・見せ方ともによかった。ビッグコミック連載『万華鏡〜抒情と緊縛〜』は、竹久夢二伊藤晴雨、そして二人の浪漫画と責め絵双方のモデルとなった女性を描く歴史マンガ…というのが設定立て。その実態は倉科遼原作・ケン月影作画、という濃厚なタッグで描かれるゲス野郎どもの物語。
いわば“三流劇画”的、しかしだからこそ息づくダイナミズムをば主戦場としてきた手練れ二人。その技の相乗効果による脂ぎった画面と展開、しかして後味さっぱりの読後感。この辺の見せ方は、やっぱり“上手い”し“面白い”んだよなぁ。
下世話じゃあないのよ。売り物として洗練された扇情、お手軽なドラッグ体験得られる物語なのだよ。このケレンは大事。