水島新司『ドカベン ドリームトーナメント編』

以前、作中に出てきた二回におよぶ岩鬼の「じゃかぁしゃい」発言について言及しましたが、最新回にも登場したのでまたも記事化。






●前二回の、筆圧感じられる筆字での「じゃかぁしゃい」とは異なり、ゴシック体。逆に観客の盛り上がりを表す「ドドォ ドワァア」は大きめの筆字。
●状況は試合中の口論。つまり岩鬼個人の怒声より観客の声の方が大きいから、それ表現するための描き文字・オノマトペの差異ですね。これを絵に堂々と重ねられるところが水島作品。
●また「じゃかぁしゃい」はページ最上部に位置する、コマの上枠線つきやぶってる。なので、視線にもこのオノマトペが最初に入ります。二人のセリフのやりとりをきっかけに起こる「ドドォ ドワァア」です。

●次のページで、今回も制止する山田。試合前の前々回、ベンチからの前回に比べると、同じグラウンド上から制止する今回には、やや緊迫感があります。





もう一点、気になった箇所。

ラストページ前、作戦を練る山田と小林。直前にミスをしたチームメイト・山岡をフォローするため決意を固める、というなかなか熱い場面です。
で、そこからめくったラストページ。

当の山岡が困っちゃってる様子を1ページ大ゴマで。こいつ、今回登場するのはこのラストページの大ゴマだけ。どうよ。かわいいけど。
ただ、このコマ割から浮かぶたくまざるユーモアみたいなものは、山松ゆうきちあたりにも近い印象受けるのよね。(山松作品は大ゴマ使われませんが。)貸本時代の執筆経験からくるセンス、といいますか。

ちなみに先週の山岡のエラーも1ページ大ゴマでした。えーと、ふびんかわいい?