ドキュメンタリー「UZUMASAの火花 〜映画村、京都・太秦に異国の風吹く〜」

NHKBSプレミアム・1月9日21時より


  • 映画「太秦ライムライト」のメイキングドキュメンタリー。1ヶ月にわたり撮影。映画の内容は、時代劇製作所・太秦を舞台に、斬られ役のスペシャリストが新人女優に演技を引き継ぐ、という物語。主人公を演じるのは、“5万回斬られた男”福本清三・70歳。
  • 撮影を行うのは、ハリウッドで映画技術を学んだ監督と外国人カメラマン。タイトルの「火花」とは、ハリウッドと太秦の時代劇製作に対するイデオロギーの衝突でもある。
  • たとえば斬り合いの場面では、殺陣師が動きを決めてそれをカメラが追いかける、というのが太秦の伝統的な撮影方法である。しかし監督とカメラマンは、複数のアングルでのくり返し撮影、編集主導のそれを要求する、という一幕がある。無駄は撮らない、一発勝負、という太秦VS複数撮影、編集前提のハリウッド。
  • もちろん衝突ばかりではない。テストで演者が軽い段取り確認にとどめるのを見て複数回の撮影を判断した監督が、本番でのいきなりの真剣さ&迫力にワンテイクでOKを出す場面も。殺陣師の「ワンテイクめの本番」「あわてて対応する方がリアル」という語り。
  • ハリウッドの演技メソッド、に苦心する福本氏の姿も。時代劇の悪役風演技が出てしまう、というのはユーモラスだが、太秦の凋落を描いた脚本と現実が重なる、演技中に目をそらせてしまう、という場面も。
  • ラストサムライ」にも出演経験のある福本氏。見せ場である、仰向けにえびぞりで倒れる場面を何度も撮影。55年の役者人生。
  • 福本氏の内面と演技。「どこかで誰かが見ていてくれる」というヒロインのセリフ、福本氏の斬られ役人生を取材した書名でもあるその単語に言葉をつまらせる。大部屋役者がスター俳優を挑発する、という演技がどうしてもできない。それらは演技人としての朴吶さ、職人のピュアさとも映る。斬られ役としての人生。
  • いいドラマが見られました。おもしろかった。

というわけで、今夜21時よりBSプレミアムで映画「太秦ライムライト」が放送です。