コミックビーム2013年11月号

  • 付録は『幽玄漫玉日記』1巻表紙を模したストラップ。これはカッコいい。箱に単行本データが記してあるのもうれしい。

桜玉吉『蕃茄』/巻頭カラー読み切り。ネットカフェでの寝泊りとマンガ執筆明かされた時にはおいおい、となりましたけど、普通に日常マンガノリになってますね。むしろ旅物?/はりついた虫というのも印象深いもんですよな、生と死であり。夏場に青太いヤマミミズが、アスファルトの熱で赤くただれてたのにはぞっとしたけど。
三宅乱丈イムリ』/研究者をとらえたというのがどう左右するか。イムリ側は部族ごとの描き分けがいちいちうまいな。
●うすね正俊『砂ぼうず』/この手つけられない怖さってのが、人対人の戦争マンガだからこそ、よりきつい。
須藤真澄『庭先塩梅』/2号続けて「玉結び」ネタ。前回は家族間の話でしたが、他人であっても、なあ。やっぱり世界がやさしい。そしてそのメルヘン支える、この絵とディティールのうまさよ。
松田洋子『好きだけじゃ続かない』/集中新連載。恋の思い出ね、ふう(遠い目)。これもまた↑とは違った意味で、生活感のディティールが見事。
上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/○休体育祭後編、なんだけれど前回の“定番”との落差がすごい。これはもう「スポーツ漫画」の幅広さをこそ愛でるべきだろう。/初っぱなの『RIN』てのがまず想定外で、でもわかるわ、こういうキャラ共だわ。/で続く『ちはやふる』はもうタイトルのまんまぶりで負ける。この「だまらっしゃい」(くわっ)は個人的にも印象深かった場面。肉まん君は上野顕太郎から坊主頭にされても、上山道郎から藤子Fタッチで描かれても違和感ないな!/『少女ファイト』は原作読んでると、落差がひど過ぎて笑う。どシリアスな場面なのに!/『メイプル球団』は知らなかった、が作風で川原泉だってのはわかりますわな。ここですよ、「あー知ってる知ってるw」どまりでない、パロディというものの内包する批評性。/『舞姫 テレプシコーラ』は、もうひどい(そればっかり)、笑うしかない。以前の日出天といい、山岸凉子パロディは元が元だけに罰当たり感すげえなあ。でも愛あるからこそ描けるものなんだよね、これは。
津原泰水近藤ようこ『五色の舟』/文字も吹き出しも絵であるマンガでは、こういう表現ができるんだな。
山田参助あれよ星屑』/『はだしのゲン』の「この赤犬の肉は特にうまいぞ」は子供心にも印象的な場面でしたが。BSマンガ夜話の『まんが道』回で言われてた、栄養がある=カロリーが高い、の世界だよな。
●市川ラク『白い街の女たち』/あらおいしそう。
唐沢なをき『まんが極道』/最終回、もとい次回からタイトルリニューアル。そうよね、商売上の理由なのよね・・・。
三家本礼『血まみれスケバン・チェーンソー』/敵役の描写がなんつうか、あきらかにボンキュッボンでセクシー衣装のお姉ちゃん達の方に手間かけられてるよなあと。正しい。
鈴木みそ『ナナのリテラシー』/作者と奥村編集長モデルにした著作権についてのやりとりは、実際の体験談だろうと。主人公側の提案する編集者のフリーエージェント化、というビジネスモデルと並行してこれ描かれるってことは、既存の体制でも個人単位でこういう仁義通して動ける編集者はいるんだよ、て話だと思われますが。ゲーム関連については実際エンターブレインでも、新装版『なげやり』未収録回とか『和田ラヂヲの徐々にポイマン』単行本化が途中までとか、ありますからね。
山川直人エスパー修行』/集中新連載。悩める主人公ですが、こういうピュアさは珍しいかな。この絵における光と闇とは、描線の多寡なんだよねぇ。
●山下ユタカ『ラチェット・シティ』/巻末コメントによると、序盤は以前から原稿描き貯めてたってことでしょうか。展開のスピード感すごいわ。
カネコアツシWet Moon』/最終回。リンクしたような、ネバーエンディングのような。楽しみながら読んでましたけど、幻想譚は軸の置きどころが難しいんですよ私には。