越智善彦『ドロイどん』83


●はい、一段目の2・3コマ目。前回はプールで今回は七夕です。図工の時間でしょうか、笹飾りをみんなで作ってて、それがアップになって、この短冊に書かれた願い事の童心ぶりがかわええなあ、と。「ちゃあん」だよ。
●ちなみに1コマ目は校舎正面からの遠景、で前回と同じなのですが、もちろんあらためて描かれています。






●で、二段目は帰宅場面になりまして、その2コマ目から4コマ目まで。くるっと回ってドロイどんに、ランドセルにさした笹を見せるひなたちゃん。対するドロイどんが「パカッ」と口?をあけ、そこから「ウイイイイン・・」と何か棒状の物が上に伸びていきます。
●ここの構図の流れ。二段目2コマ目では、ひなたちゃんが中心でドロイどんはコマの手前側です。視線が最後に向かうコマ左下にいて、読者に背向けて体の半分強をコマの外にはみ出させて、そこに影あらわすトーンまで貼られて、ぐっと手前に位置してます。読者の立ち位置、傍観者です。
●それが二段目3コマ目では、ひなたちゃんとドロイどんがともに全身コマ内におさめています、並んで。で、4コマ目で両者後頭部と足元をコマ外にはみ出させて、「ウイイイイン」と上部に伸びる棒を見ている。棒が伸びる方向には、コマ内でもちょっと余白がとられてます。といったところで、次の段へ。






●はい、ひさびさの二段ぶち抜きコマです。ドロイどんの口から出た棒が枝分かれしていった、という状態の表現。
●これ、読者の視線は当然上から下に向かいますから、「カシャ・・」「カチャ」という文字と機械状の棒と動線見ながら、最後にドロイどんとひなたちゃん、あとこの脇の子を見ます。この上向き顔の表現とか好きですが。
●この変形については、読者は描かれた動きを見て理解するんじゃなく、結果の状態から想像するわけです。それ助けるのがコマの大きさです。さっきまでより大きい絵、大きいものが出てきたことを描いた絵でありますすし、また視線の滞空時間も伸びますね。大ゴマの注目させるという効果には、そういう引き留めて鑑賞させる、咀嚼(そしゃく)させる役目もあるのだと。以上です。