Fellows! volume 25

秋津 1 (ビームコミックス)

秋津 1 (ビームコミックス)

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

  • 室井大資『秋津』1巻、九井諒子『龍のかわいい七つの子』同時発売というのは、フェローズ読者的に「いけ!やっちまえ!見せつけたれ!」という高ぶりをぐびぐび感じるわけですよ。
  • で、また言いますけど本当に気をてらってるわけでもなんでもなく、『秋津』担当編集者・塩出氏がこれ以前に、ロビン西単行本『ソウル・フラワー・トレイン』、長崎ライチふうらい姉妹』担当してるというのは、俺の尺度ですっげえ地続きなんですよ。ディテールかぎかっこ家族、 とは。マジで。

ふうらい姉妹 第1巻 (ビームコミックス) ソウル・フラワー・トレイン (BEAM COMIX)

  • 『海岸列車』帯文では「キッス」がプッシュされてましたけど、『秋津』が描く空気もそれなんですよね。今後も彼岸の男の話である『エバタのロック』とともにフィードバックでワクワクしたいし、準備中という九井諒子の長編も楽しみだ!

●長蔵ヒロコ『ルドルフ・ターキー』/新連載。『ブラック・ジョーク』みたいな世界、て過去設定なのか。いろいろ詰め込まれたお祭り的にぎやかさ。この丁寧な見せ方が味ですな。
●冨明仁『ストラヴァガンツァ 〜異彩の姫〜』/女王のおしり叩きがあり得ない言ってるけど分野的にはむしろ醍醐味じゃね?というのは作者も当然わかってらっしゃるはず。
宮田紘次『犬神姫にくちづけ』/理由は不明だが、ヤってないのに能力が消えるならヤって能力が消えないこともあるのかな。今回は主人公を守るべく、なんでしょうけれど。
佐野菜見坂本ですが?』/ホラー!?オチの坂本さんの一言に虚をつかれて笑う。
●夏本満『保健室の黒便り』/見える側の苦労というのもまた、人の良さからくる真面目さがゆえ。そんでやっぱり、乗り越えた時の元気さがいいんだよな、この作品は。成田美名子作品ぽくて好きです。
●高田健一『ベルチャイルドの鐘』/漁夫の利、運も実力か。前回のノリからして、てっきり馭者の横取りで幕かと思ったが。
森薫乙嫁語り』/式典である以上、宗教面も関わってくるか。しかし布ごしに鼻ちょうちんとはさすがや、漫画やで。コミカル双子編はこれにて完結。
●空木哲生『鴨の水かき』/なんつうか、すっごく“日常劇”だ。かけ合いの転がしっぷりが半端ない。鼻の穴と弁当のディテールが好みな新井英樹ファンの私です。
室井大資『秋津』/マンガ教室編。ネームがキレッキレですなあ、小ネタのみかんやキュウべぇ(?)ふくめ。ちょっと凄み感じるレベルでした。/あと今回は誰も不幸にならなくて(多分)よかった。初期でアオリにあった「かわいい作品」って、この地平でしょう。いいよね、たまには。
長崎ライチふうらい姉妹』/なんで飛んでんだよ!山とかどうでもいい、か…そうかもね。しおりの服はつぎ当てがえらいことに。
樫木祐人『こびと日和』/コンジュさん初回以来の登場、仲よくやってるようで何より。廃油で石鹸作るのは田舎でやってましたねー。ムクロジの果皮に詰めるとかこだわりだな!風呂桶も木製。
入江亜季乱と灰色の世界』/日比…男だぜ。乱が連れていくのは子供だからなんだけどさ。
●紗久楽さわ『かぶき伊左』/連載進んでライバルキャラがカッコよくなるというのは醍醐味。そうして力を認め合うのも、また男らしい。それと対比してまたオカルトな味、なんですが、この定型果たした上でだと、しっかり味として入ってくるのよねぇ。
白浜鴎『エニデヴィ』/新連載。天使と悪魔、女同士で仲良くけんかしな、と設定ギャグか。見開き絵にはビビった、横尾風?ここではちゃんと鳩になってるのよね。絵の強みかなあ、やっぱし。/で、この機会に明言。白浜鴎氏が以前、Fellows!誌で『カバー・ストーリー』描いた際、5日前に発売されたコミックビーム誌掲載の三好銀『海辺へ行く道』同様、半人半鳥が出てくるという雑誌間シンクロニシティが起きました。両誌を購読している私が続けざまに読んだそれを指し、ブログ上の感想にて「すんません、ビームの三好銀ともろかぶりでちょっと虚心担懐には見れない」と書いたところ、それを見た「だけ」の作者アンチが曲解し、パクったなどとネット上で吹聴しています。ありえません。まったくアンチって存在は、ねぇ。
大武政夫ヒナまつり』/そもそもヒナは新田の所に来る以前からこの性格形成されてたわけだし!で、元々こういう管理生活送ってたとか、そういう設定じゃなかったっけ。
笠井スイジゼル・アラン』/ひとりでやる。確かにそれがプロとしての分別なんだよなあ。ジゼルのけじめもまた。
中村哲也『魔街の坂』/いいなあ、この言葉じゃ説明しませんっぷり。ヘンリかわいい、だが男だ。
●高田築『補助隊モズクス』/これが虫の本来の力か、あるいは特殊ケースか。油の設定はなるほど。オノマトペのカッコよさは前フリ!
高橋拡那『しらまり 〜白瀬マリ伝説〜』/最終回。デビューからこんなんとかチート過ぎるよ。最後まで徹底して説明なし、というのはよかった。
なかま亜咲健全ロボ ダイミダラー』/アクションシーン、よくなりましたなあ。素直にカッコいい!と思ってしまった、なんてことだ。あと『火星ロボ大決戦!』。
丸山薫『事件記者トトコ!』/ケモナー回。個人的にバナナの葉とか諸尾というネーミングにきゅんときました。オチがすばらしいな。
八十八良『ウワガキ』/番外編。アネキとお袋さんの出番がなくてしょんぼり(本気)。この「○○が好きな××が好き」は本来、フラれた片想い者が口にするのが定番なわけだがここでは逆に。うまいことやりやがったなあ。
睦月のぞみ『兎の角』/髪を切るのは決意の証。だが男だ。お家間のドロドロって設定は誌面的にも映えたかな。
●緒方波子『鹿娘清美婚姻譚』/最終回。こちらもお家間の話ではあったか。大仏は想定外、というか基本設定じたい変だしな。ユーモラスに奇妙な世界をさらっと描いちゃうという、なんだろな、もっと見てみたい才能だわ。
天乃タカ『ましまろ文學ガール』/これって「女の子が頑張る」話なんだよなあ、とあらためてしみじみと。
久慈光久狼の口 〜ヴォルフスムント〜』/痛い痛い痛い。追い詰めているにも関わらず、まだまだ死は続く。


  • 前号での告知どおり、2013年より年10回刊行。8月、12月刊行号はほぼ全ての作品がのる分厚さで、1月、9月は刊行お休み。誌名も変更とのこと。
  • 掲載作品については、毎号巻末に早見表掲載。毎号掲載予定作品は、『乙嫁語り』『星屑ニーナ』『ルドルフ・ターキー』『ふうらい姉妹』『補助隊モズクス』『こびと日和』『ヒナまつり』『乱と灰色の世界』。個人的にはモズクス・こびとが嬉しい先進新戦力。
  • もうページ調整の意味もこめて、単行本広告ガンガン出してってほしいなあ。復刊した岡崎二郎もりもと崇の“アピール不足”をいまだ根に持ってる私ですよ、おもしろいのに!

大平面の小さな罪 (ビームコミックス) (BEAM COMIX) 難波鉦異本 上 (BEAM COMIX)