『チャンピオン読者が選ぶ!このマンガが面白い!2012』参加記事

ブログ「漫画脳」さんのこちらの企画に参加させていただきます。「購」読は1年目の身で!すべり込みで!
参加は週刊少年チャンピオン部門」のみです。
(※投票対象:2011年に単行本が刊行された「週刊少年チャンピオン」連載作品&「週刊少年チャンピオン」2011年1号〜52号に掲載された全作品。上位5位をあげる。)
というわけで、私にとっての2011年ベスト5チャンピオン漫画は、これだ!



1位 『空が灰色だから阿部共実
2位 『ナンバデッドエンド』小沢としお
3位 『王様日記』森田将文
4位 『ケルベロスフクイタクミ
5位 『はみどる!まりお金田



空が灰色だから
会話のかけあいやキャラクター、画面構成に抜群のセンスを感じさせるショートストーリー集・・・だけでは語れない。ここでもう「テーマ」、という物言いを私は持ち出してしまうのだけれども。語られる物語に、常に人と人との関係性がつきまとう。重ねて言っちまうけれども、それはかつて70年代後半にチャンピオン誌上であすなひろしが描き、90年代後半に福本伸行が鉄骨渡りで描いたアレ、人と人はわかりあえないという悲しみの物語に人が共感を覚えるという構造、存在の抱える根源的な切なさだ。だから引きつけられる、私はそれを見て、知っている身として。
でもそれの作品への宿り方は、屋台骨であったり空気であったりオチであったりと多彩な上、何よりもまず物語として咀嚼されている。それら自体におはなしとしての魅力があり、構成するキャラもセリフも絵面もうまい。ギャグも萌えもある、華がある。テーマという物語性を抱え込んだ作家が、鍛えた技法で語るエピソード、という価値を見れることこそが、どちらの側面も好きな私にはうれしいのだ。
全3回の集中連載から、7週間後には本格連載化、というチャンピオン編集部のフットワークの軽さも評価したい。



『ナンバデッドエンド』
長編連載の大団円。作者が描いている作品の中から核としての何ものかをつかみ、自身のリアリティをもって読者に提示する、そうやって化ける作品はいいものです。不良と優等生の二重生活を送る少年、その家族、そして仲間たちを描くヤンキーモノでコメディな少年マンガは、長い時間を経てドラマになった。これまで積み上げてきた物語を後ろ盾に、作品終盤としての重みと内圧こめて語られるエピソードのひとつひとつでほほ笑み、うめき、うるっと来た。笑って泣ける、熱い、いい少年マンガでした。



『王様日記』
誌面デビュー作にして、全8話の集中連載作品。まずもって、絵のオリジナリティがいい。絵本の挿画のような温かみがあり、それでいて洒落たポップさ(変か?)も感じさせる。その絵により語られる内容とは、傲岸不遜だがプライドに見合うべく体張ってみせる悪魔と、臆病で弱虫だけど優しい少年が、支えあい共に成長していく、そういう世界の物語。「少年」として生きる日常(=世界)の描写と、そこにおいて発揮される情と熱、頑張りのカタルシスが、読んでいてすごく心地よかった。原風景バリバリ突いてくる感じ。
正直に言うと、初見時はなめていた。子供だましの世界、ととらえた。でも、作者はくり返し見せてきてくれた、姿勢として。体張ってこれだ、と腕前と共に出してくる世界を体感して、本物なんだ、と気づかされた。作中に何度も出てくる「涙と鼻水にまみれながら」な表情の意味を、おはなしの大切さをもう一度心に刻み込んだ。だから、その価値を思い出させてくれたから、この作品はとうといんです私には。ぜひまた会いたい才能。



ケルベロス
残念ながら、多くの伏線・設定を未消化のまま、打ち切りに終わってしまった。悲しいが、それでもこの作品の見せてくれた光景をたたえよう。勇気に、暴力に、無垢に、愛に、青春に、誇りに、希望に、意地に、正義に、友情に、怒りに、恐怖に、異形に、ケレンに、萌えに、グロに、リョナに、エロスに、寸劇に、恋に、元オトコノコとして、快哉を叫ぼう。王道のアクションファンタジーとして、ダークなバイオレンスバトルをまじえ、かわいらしいほのぼの学園生活もはさみつつ。少年マンガの光も闇も詰めこんで、不恰好でもつまづきかけてもその夢に向かい必死で疾走したこの作品が、私は愛おしい。作者がこの作品に注ぎ込んだ全力の愛情も見えるからこそ。



はみどる!
ショートコメディ完結作。かわいい絵柄、サッパリしたお色気、ベタながら時々飛躍みせるギャグ、と誌面的にも非常にいい位置づけだった印象。安定の癒し枠でした。



読もう、週刊少年チャンピオン!!