行ってきました、原画展


というわけで行ってまいりました、あすなひろし原画展。最寄りの駅は神保町!(そういうプッシュの仕方もありだろう。)*1
写真の文字は黒テープで貼ってあります。いいね!



正直、展示スペースの狭さ等、若干不具合を感じないでもなかったけれども、しかし、この“中身”の前ではささいな話です。本気で言いますね。すばらしいです。泣けます。思い知らされました、“原画”というもののはらみ得るエネルギーのとてつもなさを。
実際、私がこれまでに行ったことのあるマンガ家関連の展覧会といえば、井上雄彦の「最後のマンガ展」くらいです。そちらを見た時も感動したんですが、やはりあれは話・見せ方も込みの、全体として一つの作品なんですよね。一篇の“マンガ”としてすばらしかった。対して今回のあすな展は、1ページの絵そのものが、マンガとしての構成ふくめて作品としてすばらしい。(というか私が経験に乏しいだけで、おそらく「原画展」とはそういうものなんでしょうけれども。)そういう意味では、「最後のマンガ展」は(巨大な)一枚絵をコマとして意識させる、という構成だったわけですな。(言っときますが、どちらが上とかそういう話ではないですよ?)



あー、すごかった。よく言われるカケアミのすごさ(確かにフリーハンドだったよ!)もさることながら、あの硬質な線とか絵の配置とか白と黒のバランスとか、本当にね、たまらないですよ。最後の雑誌発表作品である『林檎も匂わない』の見開き原画なんて、ありゃもう一つの到達点だと思う。すごい。絵であるマンガ家の生原稿って、これほどすばらしい。
もちろん作品として読める、という部分での面白さもありまして、今回見た中で衝撃的だったのは『山ゆかば!』隣にあった、タイトルなんだっけ、あの怪獣のやつ(抜粋でしたが)。ジャンプでやったんだよなぁ、アレを(嘆息)。ポエムコミックのもかわいいけど悲しいし。『青い空を、白い雲がかけてった』からは「童話」全ページが。もちろん『青い空〜』はどの回も、“大人”の視線からの読みを許容する作品ではあるのだけれど、特にあの回は、ホントにギリギリだと思うんですよね、少年誌でやるのは。問い・『青い空を、白い雲がかけてった』中の一篇「童話」、『童話 ソクラテスの殺人』、『スウと、いう名の童話』を比較して、あすなひろしがタイトルとして用いた「童話」という単語に込めた意味を述べよ。
すごくいい、行ってよかった内容なんですが、見終えて切ない心持ちを覚えるのも、また事実です。



ちなみに会場では、BSマンガ夜話の『青い空を、白い雲がかけてった』回も上映されてました。やっぱりこの番組は名作。俺、DVDに焼いて家に持ってるにも関わらず、全編60分見入っちゃった(笑)。なぜイスが四つしかないんだ!
あと何の説明もなく、あすな氏の甥にあたる元ロードレーサー今中大介氏の著書とか会社のパンフ、写真とか自転車が隅の方にそっと置いてあるのはどうかなぁ、と。(花も送ってあります。)展覧会の雰囲気が損なわれたりはしてないんですけど。
今中氏は、チャンピオンで連載中の俺も好きなロードレースマンガ、『弱虫ペダル』の作者と誌面で対談したりもしてるので、私的には好感持っておるのです。(何。)以前も書きましたが、編集者は対談中に、かつて今中氏の叔父がチャンピオンに漫画描いてた話題を振ってもよかったんじゃないかなー。今は新装版がビームコミックスから出てるんですよ、って。(そこがダメ?)
とりあえず、パンフは1部もらいました。



話それましたが、そんなわけで、非常にいい展覧会となっております。興味のある方、ぜひ足をお運びください。
開催地:東京都千代田区・ヤスダアートリンク(→http://www.yal.jp)
開催期間:6月30日(水)〜7月14日(水)
開館時間:11時〜19時
入場料金:700円
町田でやってるという『ちはやふる』の“複製”原画展も、知ってたらハシゴしたんだけどなぁ。京都国際漫画ミュージアムの村田蓮爾展も、「豪血寺一族」シリーズの絵さえあれば…(えー)。



おまけ(悪い妄想)
上で、『青い空を、白い雲がかけてった』の「童話」(ヨシベエが金魚を飼う話)のことを、少年チャンピオン的にはギリギリだった、と書いてて脳裏をかすめたこと。
「後のチャンピオンでは、『浦安鉄筋家族』で飼った金魚に人工呼吸して破裂させてたなー(大オチで)」
「後のチャンピオンでは、『オヤマ!菊之助』が違う意味で少年誌的にギリギリだったなー」
カッとなってやった。

*1:東京駅に着いたら、地下鉄→都営三田線改札を目指そう。東京に来るたび、駅で迷う(本当)地方人からのアドバイスだ!