●細川雅巳『逃亡者エリオ』/動き描けないのをショットの切り替えによりそう見せる、というのはそりゃマンガの表現技法だけども、乱戦描写までそれ一辺倒ではさすがに粗が目立つ。/みんなチョロいキャラだなあ、しかし。作者の以前の連載『シュガーレス』『錻力のアーチスト』ではまあこのメソッドもありでしたよ。あくまでオトコノコ≒“馬鹿”が主人公で世界の地平たるユートピア。そこで描かれる内面は、純真・単純・直情であってこそデフォルメされた内面、表現としてありえましたよ。しかし、時代ものという体裁で舞台を“社会”に拡げ、以前の連載ではあえて描かれなかった“大人”の側もそこに巻き込みつつ、なおこの主人公にチョロいこと折伏されていく本作の世界法則には抵抗感がある。1話で披露された設定のムチャクチャぶりとも通ずるが、つまりそこには、昔の人間は頭が悪かった、という蔑みが前提にあるからだ。バカだから昔の人間は殺人も戦もしたんだ、それを近代の人権主義者たる主人公が「善導」していくんだ、というなんともチープ、そしてグロテスクな世界観。昔の人間にはたいした内面も私的リアルも存在しなかった、という無自覚な単純化は物語として差別的だと思いますよ、私。時代ものに限らず、SFとか異世界ものについてもだけどさ。
●板垣巴留『BEASTARS』/解説・実演されるとマジでウンコネタだよなっていう。浦安も負けてられない!あとラストにハルちゃん出てくるけど、ウサギには自分の糞を食べる習性あるし…いやいやまさか。序盤で触れていた戦争の話も関わってくるのか。かつては種族別で隔離状態だったのだろうか。/板垣恵介・板垣巴留の父娘対談掲載。娘の作家性への父親目線がいいねえ。
チャンピオン掲載の板垣恵介・板垣巴留対談。娘の同人誌を読んで「お前多分このオオカミに一生食わせてもらえるぞ」と告げたという話で、このエピソードを連想した。https://t.co/SAIHrVvXzP
— 原原カカリヤ (@genbarakakariya) 2019年9月19日
●夢枕獏(原案:板垣恵介、挿絵:藤田勇利亜)『ゆうえんち─バキ外伝─』/本編がリハーサル中な一方で、よほど迫力ある力士の戦闘描写になってるんですが…。
●浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/なんか最近サービス回?的な展開あるけど、見せない方がエロいと自覚してるよな。
●中村勇志『六道の悪女たち』/公的・社会的復帰が救済にあたる作品なんだよね、よくも悪くも。
●村岡ユウ『もういっぽん!』/強い…。どんな背景があろうと、勝負の場なのだよなあ。
●桜井のりお『ロロッロ!』/応援上映の魅力はよくわからない…一昨日アイマスLIVEのライブビューイングに行ったばかりだけど。映像の中身としては女子同士の世界なわけだよな、これ。
●灰谷音屋『月影の忍』/読み切り。忍者アクションと思いきや、主題は内面の話か。心についた傷は消せなかった、と。『ジュニオール』の方と表裏一体のテーマでもある。