週刊少年チャンピオン2019年33号

  • 創刊50周年記念号。連載全作品折りたたみ表紙、キャラにクラッカー持たせてる作家二人がどちらも指をちゃんと描けてないあたりがチャンピオンクオリティというか(おい)。

 



水島新司ドカベン』/リバイバル掲載。カラーページ&二色カラーも再現。赤色のかもし出す灼熱よ。この語りで十分だったということは、それだけ野球が当時の認識としては共通の芸能だったってことなんだよなあ。あと、二色ふくめてフルカラー21ページ描いた次の回は8ページで、そういう調整も許されていたのかと。


渡辺航弱虫ペダル』/ケイデンスふくめ、問われる身体能力はどの程度異なるものなんだろうか。

板垣恵介グラップラー刃牙』/セルフリメイク後編。物語における初戦のディティールを全部すっ飛ばしちゃうのか…。どちらかといえばパロディに近い試みだったのでは。

夢枕獏(原案:板垣恵介、挿絵:藤田勇利亜)『ゆうえんち-バキ外伝-』/いきなりご対面かよ。さすがにここで共闘展開はないと思うが。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/50周年あわせで長州力ネタ、って長州の引退は45年目なんだけども。背景にこまわり君。

板垣巴留BEASTARS』/異種婚がリスクと認識されているのなら、逆に純血種は。歪んでいるが、競走馬の扱いみたいなもんかねえ。それでも好きだと口に出せるのはいいことだろうけど。ハリガネの方の恋バナが、悪い意味でいかにも男性目線って感じなのがどうにもキツくて。

●中村勇志『六道の悪女たち』/これ、雷乃同様に椰子谷にはもう六道の術が効いてないってこと?

●村岡ユウ『もういっぽん!』/受け継がれる意志。いい仲間だ。

荒達哉『ハリガネサービスACE』/いっしょにチアガールごっこした仲なのに…(本当なんだったんだろうなアレ)。

●灰刃ねむみ『足芸少女こむらさん』/別にポールダンス自体はエロくくりじゃないと思うが。足じゃなくてレオタード押しだな今回。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/なるほど、自分だけを不幸にしてステッキを集中させると。残り2回。

桜井のりお『ロロッロ!』/ゲロに出血、ネタの幅が広がるな!

●掛丸翔『ナミダドライブ』/読み切り。本作も卓球。この主人公像はどうなんだ、とも思うが、前連載も読み切りの時点では全然ピンときてなかったんだよな、俺。(連載は面白かった。)卓球描写ふくめ、ケレンは上手い。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/投票により選ばれた「94回死ぬ」回。まあなんだ、課題ギャグだからと言って、そうそうとり・みき唐沢なをき上野顕太郎のレベルを期待してはいけない(戒め)。あと靴下さん再登場。

●中内祥吾『仁義なきアイドル』/読み切り。ヤクザに売り出されるアイドルという構図がギャグとして成立するかというと、ねえ。ライブシーンの手書き歌詞は、プリミティブ感ある表現でちょっと好き。

【アイドルマスター】「おんなの道は星の道」(歌:村上巴)
石黒正数木曜日のフルット』/表現や倫理というものは不可逆的に“進化”するわけじゃないんだよな、別に。


  • 高橋ヒロシ板垣恵介浜岡賢次による座談会掲載。みんな大好きどおくまん、なんだけども色紙もコメントも載ってないんだよね…。
  • 現編集長インタビュー掲載。
  • レジェンド作品は『満天の星』『Pound for Pound』。コーナー49回目でまだ読者イラスト募集しているが、あと2回はやるのかな。(誌面紹介も2017年だし。)

ハルタ 2019-MAY volume 64

※先々月号です。



丸山薫『図書室のキハラさん』/帯裏連載。コマ間白なしでの連続構図転換シーン好き。オチも軽妙。

高橋拡那『紅椿』/新連載。世界巡りファンタジー百合エロコメ、か。

かまぼこRED『美少年倶楽部の秘密』/付録冊子からの移籍新連載。

佐野菜見『ミギとダリ』/サイコじゃん…。

●浜田咲良『画家とモデルと魚たち』/シリーズ読み切り。見せ場は魚じゃなくモツ(模型)。あんまり可愛く描いたら面白くなくなっちゃうと思うんだけどな、これ。さらに、扉絵でアンケート好評とアピール、定期連載化を予定と、せっかく面白かったのにいよいよ不安だな。現在の編集体制には作家を育てる能力をちっとも期待できないからです。

樫木祐人ハクメイとミコチ』/飲み屋の混雑。わいわいガヤガヤ16ページを、この作者の構成力で楽しく読ませる。他の凡庸な絵柄頼みのハルタ掲載作家が描いたらメチャクチャ読みにくい、もしくは単調になる内容だよな。絵と物語をいかに見映えよく、スムーズに読ませるべく描写するか。ページのめくり、見開きのノドまたぎ、下段コマへの移行等を意識した上で、どう展開を配置するか。どこに尺を使い、どこを省略するか。異なる大きさのコマをどこにはさみ、複数コマによる連続カットをどこで見せ、構図の切り換えと拡大縮小をどこで行うか。それを技術としてこなせるのが巧さである。

●空木哲生『山を渡る-三多摩大岳部録-』/↑とも通ずるが、こちらの作品は読者の意識の上でのシーン・カットのつなぎ方が面白い。

→冒頭4コマ、三人の体を痛めてる描写は一様さを重ねつつ、続くページ下部の暗転と内面。さらにこれが、ページをめくると待つ急転の大ゴマへの前フリでもある。ラフとも見える絵柄ながら、その効果的な使い方に作者は自覚的である。
/「筋肉の声を聴いて!」(※アイマス曲歌詞より)というわけで、新たな山への挑戦はグッと本格的になりそう。登坂中の足の軽さに始まり、目の前の景色=以前登った山、という成長の実感の描写がいい。おやつは大事。

【アイドルマスター ミリオンライブ!】「スポーツ!スポーツ!スポーツ!」「ENTER→PLEASURE」試聴動画
●原作:百名哲、作画:冨明仁秘密の花園』/読み切り。風俗の女に本気になっちゃいかんよ。『モキュメンタリーズ』序盤を山松ゆうきち的なおはなし文脈になぞらえ楽しんでた身としては、この内容を淡白な絵で抑えて描写してこそ面白いんじゃないか…という感じだが。これも綺麗にすることでつまらなくなるんだよなあ。

●浅井海奈『小悪魔天使ムーちゃん』/読み切り。恐るべき子供の地獄行。淡々と進行するだけにブラックコメディ臭ただよってるのが味である。ラスト前の、右ページ最後のコマ内で左上に飛ばされる→左ページで上から下までの直線的な視線移動の中アングル変えつつ“落下”を読ませる、という構成がおもしろい、

森薫乙嫁語り』/それぞれの会話にも性格、もとい当人の足を着けている世界が出るものだな。

九井諒子ダンジョン飯』/ダンジョン地下一階での戦い。今回はコマ内における右左をやたら直接的に上手下手(かみて・しもて)、作用関係の意味合いとして用いる構成・描写が多いが、ある種、単調なその読み心地が限定空間における移動方向の狭さ(“線”としての動き)にも通じているように思う。つまり演出として意識的なのではないかと。

→たとえば扉絵めくっての冒頭。1コマ目「右」側に「外」への出口があり、モブキャラ達は右側=上手(かみて)=物語の進行方向とは逆側、に横移動を続ける。逃避行動の描写である。主要人物のカブルーも視線を右側に向け、しかしコマの枠からはみ出る≒周囲の動きと同期せず、立ちすくむ。さらに彼が押されて転ぶ描写を、読者の視線の上から下へ、かつちょっと右によれる動きと完全にあわせる形で見せてくるのがすごく巧いわけだが。そしてカブルーにはコマの左側から手がさしのべられ、彼はそちらへ視線を向け、物語に入っていくわけである。

→この見開きも好き。右ページ上段の大ゴマから、視線の下方向移動にあわせてのクラウチングポーズ、下段を左方向へ移動=助走。右ページ左下から左ページ右上への視線移動にあわせ跳躍。左ページでの下方向への視線移動にあわせ、下方向へパンチ。この一連の描写は紙の本の形態で、本のノドの存在をあわせて読まないと、その演出の効果は十全に味わえないと思われる。
/さらっとパーティーの人数制限という設定にも理由付けの発言あり。こういうディティールの上手さもまた。

●佐藤春美『つきたて!餅小町』/シリーズ読み切りショート。膨張餅女。

近藤聡乃『A子さんの恋人』/で、↑に続けて餅食回。美味しそうだけど夏場に読むものじゃない、というのは掲載から2ヶ月遅れで見ている自分の責任だが。こたつで餅食いながらたとえ話は海、というあたりが浮世離れ感。それにしても、このたとえ話は秀逸。

→小ネタにも近いが、この2コマでの吹き出しと餅の形状のシンクロ、という表現は描き手の感覚まで考えてみると面白い点。構成において、吹き出しの位置取りにもすごくこだわる作家らしい意識の仕方。

→あと、この六畳間の描写が上手い。

●設楽清人『忍ぶな!チヨちゃん』/ある意味親父越え、からの急に来たな!

山本ルンルン『サーカスの娘オルガ』/おお、終盤にきて思いきりハッピーエンド、メルヘンへと振ってきた。絵を描くことを失い、しかしかつて見たその幻想を忘れなかったことで、また現実の彼女に向き合えたと。サーカス自体も夢、という話だからねえ。

福島聡『バララッシュ』/マンガにおける感情表現の要は目、というのも最近はあまり言われないかな。だったらあえて、というレベルで今回は目の表現とそれのもたらす緊張・緊迫感がすごい。天才であり脅威である人物から「見てるものが何かわかるか?」と問われた、凡人を自認する主人公・山口が、どういう「目」をするか。

→まず対面時。山口は目を閉じている、または帽子のつばに目が隠れ気味。そんな彼に対し、相手の不破はらんらんと光る目を山口に向けるわけである。続く場面で、山口は不破に気圧されまくることとなる。

→不破の指示を受けて重い表情の山口、そんな彼をじっと見つめる友人で同志の宇部。ここで宇部は構図の接続上、メガネごしではない山口の裸眼を見つめているわけである。その目と表情を見た宇部はこの後、「あいつなら心配ない」とつぶやく。そういう信頼であり絆。


→悩める、呆けている山口と、そこから自分の内面を模索する山口。悩んでいる際は影に瞳が一体化したような絵とトーン。そして、あがいている際はメガネを指でずらし、その隙間からトーンの貼られない目がのぞく。この目は、過程を読んでいくと強く映る、光と読める描写だ。終盤の山口と不破の再度の対面も、相変わらず気圧されているのと同時に、山口の意識の上での抵抗もまた読める。“理解”という形で追いすがる描写なわけである。

→その文脈で言うと、先輩・宮城さんの“怖い笑顔”の目の表現の胡乱さもなあ。

週刊少年チャンピオン2019年32号

  • 付録ポスターの「地下闘技場力士絵巻」は何の再掲なんだっけ、と確認したら新宿駅に出した単行本広告か。そりゃインパクトはあるよな。
  • 表2広告はダウンタウンDXの企画「芸能人バキ化計画」。
  • 日向坂46って46人いるわけじゃないんですね…。



板垣恵介グラップラー刃牙』/セルフリメイク企画。初っぱなの大きなケレンでもあった食事描写、それこそ小池一夫梶原一騎にも連なるディティールなり設定解説なりに重きを置いてないあたり、物語としてのリアリティラインがすでに別物ってことなんだよなあ。この点は作家性に限らず、時代性や読者論も込みでの話だが。末堂のビッグネームぶりよ。独歩は松尾象山っぽい。/作者インタビューでは刃牙1話についての話が、前号掲載の沢考史のそれとあわせて両面的に読める内容。

板垣巴留BEASTARS』/女性、もといメスのみなさんたくましいことで。ドンファンって呼称はありなの。

桜井のりお『ロロッロ!』/勘違いネタの破壊力の強さで、ギャル先輩のかわいい一面とか新しい友達誕生とかがかすむよ。猫ぬいぐるみのお婿さん探し、微妙にBEASTARSとシンクロ。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/「元気を売れなくなった」と政界を引退した猪木をリスペクトしての、国会議員のウンコが硬貨(現金)形というネタ。おい。

西修『魔入りました!入間くん』/こうまで露骨に上目遣いで媚売られてお腐れ様はうれしいものなのだろうか、普通に喜ぶんだろうな◯◯◯◯とかは。それはさておき、この地割れなどやはり重本ハジメの画風のように見える。

●中村勇志『六道の悪女たち』/緊迫の状況からこの絵の落差は笑うわ。そういえば椰子谷は自滅状態で主人公から退いたんだっけ。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/顔がいい(用法違い)。この重ねコマや枠線はみ出しも、構成力ある作家だからこそ読みやすく描けるのだよなあ。

荒達哉『ハリガネサービスACE』/サイコの方がノリノリで描ける作家なんだから、恋愛担当キャラだけまともぶらせなくても。というか、これ系の展開ってファンには嬉しいの?

●阿東里枝『うそつきアンドロイド』/読み切り。無表情ヒロインと熱血男子のラブコメ、というと自分は『団地ともお』に出てくる二人を連想する体質になってしまっているが。展開のテンポと笑いのはさみ方が小気味良く、絵と構図と構成の使い方にも自覚的。上手い。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/もう8ページ連載形式に変えてもいいんじゃないの、『団地ともお』みたく。

●古田朋大『謀略のパンツァー』/修学旅行編、動物出すためだけのイベントだったのかな…。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/役立つなあ、警察。しかしやり直すにしても火種は健在。

●中村たつおき『愛か肉か』/読み切り。ギャグ。顔芸ラブコメ

●灰谷音屋『ジュニオール』/最終回。前回の内容で、長いスパンの伏線を見事に畳んだな!と思ってたら予想外のオチだか落とし前だかだよ。物語としては前回でやりきり、最終回は美学で痛快に結ぶと。最序盤の未回収の伏線を最後にちらつかせるのも、このカタルシスの後ではショーマストゴーオン、カーテンコールの凱歌とも映るわけで。/いやー、上手い作品だった。面白かったです、お疲れ様でした。正直このレベルの新人作家なら、他誌で描いた方が正当に評価されるし売れるだろうとも思える。


鴨川つばめマカロニほうれん荘』/リバイバル掲載。今見てもこのギャグ連射ぶりはすげえな。このヒロインがかわいい、という感覚はまだ通じるんだろうか。


週刊少年チャンピオン2019年31号

  • 日向坂46全メンバーによる創刊50周年お祝いコメント企画。「ゲーム批評」誌が通算50号目のカラーページをモーニング娘。特集に割いて総スカンくってたの思い出すなー。まあ“グラビア”は当初から少年誌の華とはいえ。



高橋ヒロシ、鈴木リュータ『WORST外伝 グリコ』/体育テスト編。『バキ』みたいな流れ、というかそもそも授業受けてるのか。

桜井のりお『ロロッロ!』/水着姿でパンツ掲げは変態的発想。

●中村勇志『六道の悪女たち』/ちゃんと収拾つくのか、これ。ノーマライゼーション唱えりゃいいってもんでもないし、乱奈登場の前フリでもあるんだろうし。

渡辺航弱虫ペダル』/こういう初体験の心情の活写は、やはり経験者ならではか。

板垣巴留BEASTARS』/食は生命。それはそれとして義理は守る。

西修『魔入りました!入間くん』/これ、モンスター描いてるアシスタントが重本ハジメだったりしない?

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/…サービス回なのだろうか。

手塚治虫ブラック・ジャック』/リバイバル掲載、単行本未収録作。この内容を未収録とするあたり、手塚の職能としてのエンターテイナーぶりではあるのだろう。『AIの遺電子』だったらドヤ顔で押してそうじゃん、この路線(笑)。/手塚プロダクション代表・松谷孝征インタビュー掲載。

荒達哉『ハリガネサービスACE』/連載を5年間読んでておそらく初めて、誌面構成に上手さを感じた。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/屋台も出るイベントなのか、楽しそうだな。本編中で扉絵の意味を明かす展開がいい。

●川村拓『かわいい後輩に言わされたい』/先行出張掲載。この手のなんだ、対面クーデレ系?も流行りだなあ。だからこそ技巧の上で見せてくれなければ、しょうもなさしか感じないのだが。

●灰刃ねむみ『足芸少女こむらさん』/足延べ麺、足包み餃子。うん、これはフェチだな。

●古田朋大『謀略のパンツァー』/夢の大きさが勝因、みたいなことだろうか…。

●灰谷音屋『ジュニオール』/次回最終回、なのだけども。ここまでの伏線の張り方見てると、この試合は杉浦と草野の見せ場にする、というのは予定通りの展開(のはず)なんだよなあ。それはそれで、物語を語りきる、という姿勢を貫いてみせたのではないかと。/構図の異なるコマ間を通じてのボールの挙動のポジショニング、その読ませ方と構成が巧い。

●大沼隆揮、内田裕人『Best Picture』/読み切り。両面にいい顔してそつなくまとめてみせたな、という第一印象になるのは難しい所。物語というものには文脈の優劣づけが入るんだよな、どうしても。

石黒正数木曜日のフルット』/初っぱなの競馬場のコマ、すげえな。




  • 9代目編集長・沢考史インタビュー掲載。
  • 今年の横浜商店街とチャンピオンのコラボは「ガチハンバーグ!」。で、西修のコラボ絵はナイフとフォークどういう持ち方してるんだよこれ。

  • 森脇真琴の入間くん主人公評、「「引き笑い」ならぬ「引き攻め」というか「逃げ殴り」(笑)というか…」はかなり本質を突いていると思う。入間くん含む、凡庸な異世界ものの多くは“奴隷の鎖自慢”をこそ読者も望んでいるわけだが、そういう言い方があるか、と。あと、「シリーズ構成・筆安一幸」のクレジットからちゃんとプリパラが消えていてよかったよかった。
  • レジェンド作品は『箕輪道伝説』『ウダウダやってるヒマはねェ!』。

コミックビーム2019年6月号

※先々月号です。


  • この表紙をめくった表2広告が貞子ってのもどうなんだ。

 

  • そして、裏表紙は2号連続ギャルゲー広告である。珍しい、というか初?



●田辺剛(原作:H.P.ラヴクラフト)『クトルゥフの呼び声』/新連載。ラヴクラフトシリーズ。本作は話の聞き手という形の導入。以前インタビューで、作者はもっぱら絵を描いてネームの振り分けは編集者任せという発言もあったが、長らく担当だった岩井氏が外れた影響が出るのかどうか。

●伊図透『全速力の。』/物語は過去へ。このざわっとくる“恋愛”描写な。ウルナから通底する女性の内面もまた。

●谷口菜津子『彼女と彼氏の明るい未来』/そもそも対比となる主人公とのセックス描写はさっぱりだし、という発想はエロ漫画に毒されてますか?

三家本礼『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』/こいつらは学校別なんだよなあ、といった所で巻末コメントにて残り数回との告知が。『恋と問』といい、続編を上手く伸ばせない感がなあ。

中野シズカ『てだれもんら』/お仕事風景というかバトル描写というか。世界観と美意識の説明だな。

●小山健『生理ちゃん』/アイドル編。普通に勉強になる。進研ゼミDMばりの対比は笑うが、結果は別。

鳩山郁子(原作:堀辰雄)『羽ばたき』/日の光の下では偽りの姿。しばらく休載とのこと。

●原百合子『繭、纏う』/ラストページのこの顔よ。それを向けられる当人は一貫して描かれないのが効いている。

近藤ようこ(原作:澁澤龍彦)『高丘親王航海記』/ジュゴンかわいい。引き寄せるものという表象もあるのだろうが、音楽の表現がおもしろい。

桜玉吉『水芸』/銭湯の一コマ。通ってないと出てこないディティールではある。そうか、還暦も近いか…。

●朋さくら『すてきなアリス・ウォンおばさん』/読み切り54ページ。絵柄、間の取り方、吹き出しによる視線誘導とコマの接続あたり、海外コミック風と評していいのかな。物語の進行、状況描写としては構図とそのカットバックで読ませていく形だが。海外を舞台においての民話と異界、青春の懊悩。エスプリがかったセリフと展開も、この世界観なら地に足の着いたそれと言えよう。独特な読みごたえで面白かった。

羽生生純『この物語でネコに危害はいっさい加えておりません。』/ワンちゃんとネコちゃんの友情。人は死ぬ。

いましろたかし『未来人サイジョー』/あっさりこけるかー。そして、まさかのエロ劇画(大人漫画)編突入?最後のコマで、私が以前感想に書いたのと同じ内容を自己ツッコミしてあって、そりゃ作者が気づいてないはずないよね。野暮な読者ですいません…。

三宅乱丈イムリ』/そうか、イコルは対立を俯瞰してるのが現状なんだな。チムリが能力を使う(=チムリと話してる相手の顔描いたコマに線)傍ら、ミューバは重要アイテムを入手(=1コマだけチラ見せ)、という描写の省略が粋。

やまじえびね『かわいそうなミーナ』/集中連載最終回。王道。

●オカヤイヅミ『ものするひと』/最終回。そういう締めか、“絵”としては。主観的な、ある種ゆがみの入った描線と、表現を生業とする人物というテーマがよく合っていた。面白かった。お疲れ様でした。

松田洋子『父のなくしもの』/最終回。『おかめ日和』クライマックスのあれを思い出す。圧巻のホームドラマであったなあ。お疲れ様でした。


  • 市橋俊介のコラムが衝撃の内容なんだが…。(もう続きは出てるんだが、まあ。)