週刊少年チャンピオン2019年30号

●触媒ヒロオミ『どらコン!』/新連載。ハーレム系。読み切り時と作風変わりすぎでは。

渡辺航弱虫ペダル』/新入生レース時の展開と重ねてきたな。主人公の執着という点ではシャカリキ!に近い内実かも。

板垣巴留BEASTARS』/ドアの穴、最後の抱擁。なんだろうねえ、選べなかった未来を子に託すという親のエゴでもありながら、種族や形質という生来の枠≒枷への抗いでもまた、生まれながらの異種たる彼女にとってはあったわけで。いずれ“本当の姿”で再登場しそうでもあるが。こういうエピソードがレゴシの器や性的指向の「原因」と(してのみ)目されかねない、というのがまたデリケートな領分ではあるのだが。

板垣恵介『REVENGE TOKYO』/再録、柳編。破格の扱いなのか、あるいはキャラとして別文脈に着地できず消失、と見るべきか。以前、対談中に「柳は死んだんですか」と聞かれて肯定してたしね。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/で、↑に続けてこのカラー扉はずる過ぎるだろ。どの柳の子供なんだっけコイツら、て、どの柳ってなんだよ。SAGA後の二人一蹴パロディって脈絡もあわせて見るべきだな、この自爆オチ。

浜岡賢次浦安鉄筋家族』/リバイバル掲載。野良ミャオ高速道路編。芸風自体はこの頃すでに定まってるよなあ、と思ったら22年前なのかこれ。作者インタビュー、子供が生まれてから大鉄が動くようになった、という話がおもしろい。


●村岡ユウ『もういっぽん!』/初戦突破。理想を共有する者として、技をかけた側・うけた側、双方ともに原点を自覚する様。ページのめくりや本のノドのまたぎが、演出として非常に上手く機能する誌面構成。

●中村勇志『六道の悪女たち』/性癖を逃避先として描かれるのも、ちょっとなあ。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/前回のヒキにはまんまと騙されたが、それとネタ自体のクオリティは別なので…。休載を挟んだのが生きたな、しかし。

桜井のりお『ロロッロ!』/同居オチの前回から、まさかのすでに同居してた今回。ロボットギミック生かしたギャグ展開。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/アンチ魔法少女なあの能力で倒せてたのね。終わりも近いか。

●灰谷音屋『ジュニオール』/反則、そういうのもあるのか(おい)。コマ割りと誌面構成がキレキレ。最後のは相手のミスの経緯ふくめ、杉浦のつみ上げてきた結果か。これも終わっちゃいそうな…。

●荒井俊太郎『0 ゼロ<後編>』/シリーズ連載最終回。不良マンガ云々というよりは、作者の絵力注ぎ込まれたケレンとしての対立構造と異形、という読み心地であった。ビジュアルドラッグ感。

平川哲弘『ヒマワリ』/最終回。このモラトリアム主体のドラマツルギーで、業界内での成り上がりといったディティールは描けないだろうし、デビューで終わらせるのは適切なタイミングだろう。お疲れ様でした。

石黒正数木曜日のフルット』/甘味にあわせる飲み物は迷うことあるな、確かに。


  • 8代目編集長・樋口茂インタビュー掲載。グランドチャンピオンの名が。
  • レジェンド作品は『手っちゃん』『おやつ』。『おやつ』がカラーページ取って、『がんばれ酢めし疑獄!!』と同じ誌面に載ってたんだよな、あの時代。




※余談


先週こんなツイートをしたが、よく考えると「主人公所属のアイドルユニットデビュー」という展開までがかぶっているのだった、うむ。
 
アイドルマスター ミリオンライブ! Blooming Clover 5 (電撃コミックスNEXT)  ヒマワリ 8 (少年チャンピオン・コミックス)

 てんむす 10 (少年チャンピオン・コミックス)

 クローバー 43 (少年チャンピオン・コミックス)

週刊少年チャンピオン2019年29号

板垣恵介『バキ道』/最後のページだけ見ると、独歩が渋川を裸にむいてニヤついてるみたい。

渡辺航弱虫ペダル』/ヘルメットとゴーグル外したら、また既存キャラそっくりの肉親だったりして。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/雨と鈴ちゃん。トラブル展開は回避しつつ作風と描写力は変わらず、となるとキャラとしては芸達者にもなるか。

●中村勇志『六道の悪女たち』/そりゃマゾだからなあ…。あるいは解放された結果がこれなのか。異性装のノリからの飯沼の説教といい、性的指向性的嗜好をごっちゃにされそうな危惧もないではない。

桜井のりお『ロロッロ!』/実はまだ、この家にいるのです(ポリさん一家)。エロマンガで見るやつ、という人の想定するエロマンガ、だいたい二次創作説。

板垣巴留BEASTARS』/ザ・女性作家の描く女の業。宿命の選択と代替の死という意味では、近い内面なのはイブキになるか。大皿を直箸で取り分けられる、という血縁を示すディティールが秀逸。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/個の世界から師の存在という描写へ。いい展開だけど、観客席からの指示は違反にあたらないかね。

●古田朋大『謀略のパンツァー』/おこぼれでは価値がない、という描写なんだろうか。

吉田達弥『美少女戦士とパパ』/読み切り。ギャグ。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/↑と続けて掲載で、最後に設定ゆるがすような能力出てくるという。

●荒井俊太郎『0 ゼロ<前編>』/気圧される、という心理表現としてはなかなかよい筆致。

●綿貫琢己『鮫神鉄拳ジャッポ』/読み切り。まんまファンタジー連載のプロローグという感じ。

柳沢きみお『月とスッポン』/リバイバル掲載。幼なじみで長身で妹系ヒロイン、かもしれん。

石黒正数木曜日のフルット』/デフォルメなのは変わらずにディティール加えられるあたりが画力よな。


  • 7代目編集長・大塚公平インタビュー掲載。連載開始作品見ると結構なラインナップ。おおひなたごう施川ユウキもこの人の時代か。能田達規小沢としおのことを惜しがったり、本気!終了からの部数低迷の顛末を語ったり、わりと赤裸々な発言も。今でもどおくまんに電話する仲って話はいいね。
  • レジェンド作品は『不安の種+』『バイオハザード~マルハワデザイア~』。



※余談



アイドルマスター ミリオンライブ! Blooming Clover 5 (電撃コミックスNEXT) てんむす 10 (少年チャンピオン・コミックス)
ヒマワリ 8 (少年チャンピオン・コミックス) クローバー 43 (少年チャンピオン・コミックス)

ハルタ 2019-APRIL volume 63

※先々月号です。



丸山薫『図書室のキハラさん』/帯裏連載。小物にも生き物感の出るタッチ。

●中西芙海『巨人暮らしのススメ』/巨人ガジェット無関係な日常パートの方が、ちゃんと画面構成できているように読める。
/そもそも、私はこの作品の読み切り版掲載時に言ってたわけですよ。「すごくおいしい場面なのにもったいない、という形で技術の追いつかなさ感じる部分は多いものの、ファンタジー世界のセンスは好き」「しかし最近のハルタ誌面見てると、読み切りほめる場合は「設定が好みでアフターシチュエーション見たい、とかじゃねえんだよ!あくまで褒めてるのは“作家性”であって、あなた方編集者が何か形に育て上げてくれって言ってるんだよ!」と、わざわざ念押ししなきゃいけないんだろうか」と。で、まんまとその不安が的中してる状態という。ちょっと“設定”が好評だとホイホイ“引き延ばし”に走って、作家としてのクオリティアップなんざ蚊帳の外という、もうねえ。

樫木祐人ハクメイとミコチ』/1ページ大カット集。パース芸が映える。海産物は食肉になる世界観なんだよな、うん。そう考えると、BEASTARSの水生動物周りの設定は思い切ったもんだ。

●二宮香乃『哀愁エスパー』/読み切り。ヒロイックになれない、という一貫性ではある。

九井諒子ダンジョン飯』/人を食うものとしてのダンジョンと、それを管理しようとする者と。エルフ隊長の戦闘描写が抜群に巧いな、また。

佐野菜見『ミギとダリ』/サスペンス展開。最終的にはシリアスにいくのかねえ。

須川佳『まつ毛のない人魚』/読み切り。けもフレ2でなんやかや言われてた、擬人化と飼育の要素にも重なるな…。断絶の見せ方と、物語としてのその回収が上手い。

森薫乙嫁語り』/暇、すなわち日常。残らない文化、という描写ではある。

●設楽清人『忍ぶな!チヨちゃん』/急転の状況説明を扉絵1枚で済ますという。親父は強かった。こんな形で混戦状態か。

●大槻一翔『欅姉妹の四季』/毎回、目が素通りしていく作品なのだが(正直)、今回の連続コマによる首そらしはちょっと面白い描写。

→なお、前号感想でふれた『A子さんの恋人』のそれは、より発展形。
             (※右ページ下段)
                (※雑誌のノドまたぐ)
(※左ページ上段)
●金箱さくら『霧の中へ』/読み切り。カッパ探し。こういう日常内の異物メソッドが、いききったら異世界ものになるのかねえ。

●嵐田佐和子『青武高校あおぞら弓道部』/この手のディティールなり日常なりとしてのネタを、本編に物語として組み込めてないあたりが惜しい。

●犬童千絵『碧いホルスの瞳』/ヤリチンもしくはヤリマンと動物、というのも一つ物語の定型ではある。

●間間戸淳『鞄工房日記』/最終回。タイトルに工房日記とつけて、前回ラストでようやく工房に雇われて、今回は四コマ3本載せて終了。なんだそりゃ。

八十八良『不死の稜線』/あれ、たしか白雪姫は四人以上感染させてたよな。本心ではなかった、という結末?

福島聡『バララッシュ』/山口の手たたきが、「ぱんッ」という発声セットで通じるようになっている宇部。上述にて連続コマでの首そらし≒連続運動についてふれたが、こちらは左ページ最後の2コマにて、アップ&構図の半回転しつつ、コマ内の位置という形での“連続”性。

/酒に酔って本音を吐露するオッサンと、切れた電話に向かって決意表明する若者という、二人の「凡人」。山口の俊巡と自覚の、間と挙動で読ませる心理描写が堂に入ってる。対して、ラスト2ページに配置される“天才”の恐怖感。

近藤聡乃『A子さんの恋人』/電話で会話しながら室内でのモノローグ、リフレインされる過去、という描写から、最後に主人公が“部屋から出て”、電話ごし・回想中の登場だった友人と(別れの)対面をする、それと同時に自らの中に未だ見えないながら言葉があることに気づく、という構成の上手さよ。外に在る背景の描き込みが“リアル”としてきいている点もまた。オチへの布石もね。


  • お便りコーナーの読み切り群感想、個人的には最も面白かった『リトル・ホテリエ』(荒木美咲)のものだけ掲載されてないのか、うーん。まあ他の作家は初登場ということもあるのだが。

週刊少年チャンピオン2019年28号

渡辺航弱虫ペダル』/まさかのマウンテンバイク編突入!?漫画のMTBキャラといえば麗一ですねエアマスター

●灰刃ねむみ『足芸少女こむらさん』/作中では足のマメもフェチ要素なのか…。空灰で膝裏のあせもに興奮する話あったけど。

板垣巴留BEASTARS』/テロリスト気どりなのかと思ったら、自意識は教主じみてるっぽい。そして、主人公は衝撃的な形の再会。寓話らしいノリで嫌いじゃないが。

板垣恵介『バキ道』/言ってることは立派だが、正直かませの予感しかしないよ。あるいはドメスティック話法におとすのか。猪狩と本部は来ないの?

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/松五郎ペットの公園乱入は初期にもあったが、その頃から聖地ネタだったってことかな。昔は頭からワニに食われてたあかねちゃんも成長したもんだ。(成長?)

●古田朋大『謀略のパンツァー』/修学旅行編開始。チーム戦展開か。↑と動物つながり、というか何だコイツ。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/一貫して、今この時の自分の気持ちが大事、という物語なのだよな。構成の見映えがあるから、展開の密度も引き立つね。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/ひでえオチだな!移籍直後のアレな黒人レイプ未遂も、ピンチすり抜けてたって話ね…。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/運も実力の内と言うし。シリアス展開きちゃうのかな、うーん。

桜井のりお『ロロッロ!』/さよならトミー先輩(いるんだろうけど)。なんか僕ヤバの反動でのイカれっぷりという気がしないでもない。

●荒井俊太郎『1<ワン>』/不良キャラで家庭問題の話はね…。番長らしい器見せたな、今回。

●灰谷音屋『ジュニオール』/おおお!気持ちの伝播と再起の口上、これは熱い。まだ続くよね、連載(不安)。/2週前から言ってるけど、4巻収録33話の扉絵を見返してください。
ジュニオール 4 (少年チャンピオン・コミックス)ジュニオール(4) (少年チャンピオン・コミックス)
平川哲弘『ヒマワリ』/そういう因縁のわりにはオヤジの方、当初の態度悪くなかった?こう立て続けだと、“大人”や“社会”は描けない作風なんだな、という印象の方が勝ってしまう。

恩田チロ『キリちゃんとノン』/読み切り。悪魔と少女。俺はもういい年だし、この手のノリは技巧の上で見せてくれないと魅力感じないんだけども、まあウケそうだよねー。

内崎まさとし『らんぽう』/リバイバル掲載。描線と絵柄の端整さにこのメルヘン、案外古びないもんだな。

石黒正数木曜日のフルット』/地口ネタ。シカでした。


  • 六代目編集長・岡本三司氏インタビュー掲載。編集者にのびのびやらせる、といった全体的な発言のノリが奥村勝彦氏にも近い。
  • レジェンド作品は『しまっていこうぜ!』『そばっかす!』。
  • 情報ページに大阪での「佐藤タカヒロ原画展」開催告知。

週刊少年チャンピオン2019年27号

  • 付録に『吸血鬼すぐ死ぬ』描きおろしイラストポストカード。吸死、コピー濫用や同構図or同形コマの連発で作風荒れてねえか(またネタがダイレクトに作画構成に左右される芸風だし)、と思ってたら直後に毎度カラーイラスト仕事が来るの、わかりやすいっちゃわかりやすいんだけどさー。



高橋ヒロシ・鈴木リュータ『WORST外伝 グリコ』/黄金時代という概念は、これから作ると宣言するものじゃないだろう。旗揚げと言って屋根登るのも、意味勘違いしてたりして。不良の中坊だし。

渡辺航弱虫ペダル』/カロリー消費するスポーツ選手にならケーキと唐揚げもありじゃないかな、田所バーガーもあったし。アキバ再訪、カラオケ行くのはらしい。選抜展開くるか。

板垣巴留BEASTARS』/そういう切り抜けか。ハルとの出会いといい、この脆さがフェチっぽい観もあるが、返すセリフとしちゃ粋だあね。メロンという名前は交配で品種改良された作物になぞらえて自称してるってことかな。草食のみならず肉食獣の尊厳についても侵してみせると。

西修『魔入りました!入間くん』/死人出てるのかよ(笑)。なんかあれだな、画力とセンスのないBLEACHってノリにも見えてきた。

●古田朋大『謀略のパンツァー』/わけがわからん…。パンツ見た者の嫁になるとか?

夢枕獏(原案:板垣恵介、挿絵:藤田勇利亜)『ゆうえんち─バキ外伝─』/猪狩、名前だけ。

板垣恵介『バキ道』/アオリ、勇気あるな…。

●中村勇志『六道の悪女たち』/マゾ堕ちの経緯が明かされる!みたいな展開がいずれくるのか、いやはや。それもまた羞恥プレイ?

●村岡ユウ『もういっぽん!』/柔よく剛を制すであるか。大舞台での初陣としては最上の出来だろう。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/ミラグロマン(アイス)。その場で使わなかったら、なくしかけた棒を追いかけてまたひどい目にあうんだろうし。

●いづみかつき『鬼のようなラブコメ』/センターカラーで最終回。ライトなノリでスパッと描ききって終了、という連載形態も悪くないな。お疲れ様でした。そういえば扉絵左上…。

荒達哉『ハリガネサービスACE』/いつまで経っても画面構成上手くならないマンガ家が独創性のつもりで出してくる見開き構成という、見ててこう、つらい。

●荒井俊太郎『2』/4週連続シリーズ新連載。絵面がいちいち強烈。同誌面に載ってるからというのもあるが、ちょっとどおくまんっぽいケンカ描写にも見える。

桜井のりお『ロロッロ!』/いくら同性だからって、と思ったが全員全裸になったこともある部だった。

●灰谷音屋『ジュニオール』/この局面で、こういう性格のキャラによりリスクを見せつける重さ、焦燥。純粋に技術で上を行かれる、という攻防描写がまたな。/で、だ。前回読んだ後に33話の扉絵見返して、あーここにも布石が!となってたんだけれども。試合前の自主練やハーフタイムふくめ、この“落とす”展開に至るまでに草野というキャラをどう描写していくかは、長いスパンでしっかり構成されているのが見える。ということは今後の展開、リカバリーについてもすでに“物語”は準備されているのではないか、とね。

どおくまん『熱笑!!花沢高校』/リバイバル掲載。ギャグ時代の、しかもモロなウンコネタ回。『怪人ヒイロ』での遺恨から、あえてこれ選ばれたんじゃないかという気もしないではない。インタビューもないし。なんつうかデジタル作画による雑な絵や構成しばしば見かける状況だと、どおくまんのとにかく手を抜かないで描き込む作画としつこいくらいに描写重ねる構成の実直さ、熱意は際立つ。表現主義だよ、たぶん。


  • 4代目編集長・神永悦也インタビュー掲載。そうそう、サンデーコミックスの話は押さえておかないと。プレイコミック、プリンセス、ひとみといった誌名も登場。立原あゆみの掲載もこの人からか。
  • レジェンド作品は『番長惑星』『番長連合』って、おい。
  • アシスタント募集要項に細川雅巳新作とハーレム系ラブコメの予定掲載。